第50回、51回文化観光研究部会のご報告

文化観光研究部会は今年度から、NPO法人スマート観光推進機構の「観光のひろば」との共催として開催しています。以下ご報告です。

第50回文化観光研究部会(シンポジウム)

テーマ:「関西のインバウンド観光を見つめ直す」 〜関西は、一つずつ〜
開催日時:8月29日(水) 午後1時半~4時半
開催場所:大阪大学中之島センター 佐治敬三メモリアルホール

基調講演:「オール関西でインバウンド誘客を!」
一般財団法人 関西観光本部 事務局長 森 健夫 氏

事例報告:「インバウンド向けサイクリングへの挑戦」
NPO法人スマート観光推進機構 理事 中西弘之

パネルディスカッション:「インバウンド観光 関西は、一つずつ」
関西観光本部事務局長 森 健夫 氏
京都市:京都市産業観光局 観光MICE推進室 観光戦略課長 西松卓哉 氏
大阪市:大阪市商店会総連盟理事長 千田忠司 氏(中央区商店会連合会会長)
神戸市:有馬温泉 瑞泉御所坊主人 金井啓修 氏
コーディネーター:関西ベンチャー学会常任理事、NPO法人スマート観光推進機構副理事長 清水宏一(元京都市観光政策監)

現在、訪日外国人が関西に殺到していますが、関西の中でも、大阪市が訪日外国人の増加による経済効果を上げる一方、神戸市は訪日外国人が思ったほど増えないという悩みを抱えています。逆に京都市には、訪日外国人が増加し過ぎて受け入れ能力が追い付かないという、いわゆるオーバーツーリズムの現象が起きている地域があります。このように、同じ関西でも、それぞれおかれている状況が違います。それぞれのおかれている課題を再整理して、それぞれの立場・特徴の違いを尊重しながらも、互いに連携し合うことの重要性を認識することを目的に、シンポジウムを開きました。

関西観光本部は関西の10府県と4政令市、経済団体、観光団体、事業者、国の地方支分部局などが参画し、関西全域へのインバウンドを誘客する、関西唯一の「広域連携DMO」として、2017年4月に設立されました。森さんは訪日客の集中による問題に懸念を表明。熱狂のあとに残るものが「訪日客の減少」や「住環境の荒廃」であってはならないと語り、「京都、大阪を巻き込んだ関西ブランドの確立」「広域連携団体間のプラスワン連携」「海外の都市とのプラスワン連携」に取り組みたいとの考えを表明しました。

パネル討論では西松さん、千田さん、金井さんが、それぞれの立場でインバウンド迎え入れへの取り組みを説明しました。西松さんはMICEに注力する観光戦略を進める一方、観光客の集中・混雑が起きていると京都市の課題を述べ、「季節の分散」「時間帯の分散」「場所の分散」や、ホテルにスーツケースを送る「手ぶら観光」、市バスの「前乗り後降り」などの混雑緩和対策に取り組んでいると語りました。千田さんは「銀聯カード」や「多言語指差しシート」の導入など、これまで進めてきたインバウンド対策を説明し、地域ネットワークの集大成としての「大阪活性化事業実行委員会」で国際イベントが相次ぐ来年以降大阪の魅力を発信したいと述べました。金井さんは有馬の湯や有馬山椒、六甲の水などの魅力を説明し、六甲山を核としたストーリーで世界遺産を目指すと語りました。また、「赤字の六甲有馬ロープウェイのシースルー化を提案していると、ユニークなアイデアを明らかにしました。

第51回文化観光研究部会(フィールドワーク)

「奈良少年刑務所のホテル化計画と、これからの奈良の観光・まちづくりを学ぶツアー」

開催日:10 月 13 日 (土)
案内人:奈良県まちづくり推進局幹線街路整備事務所・竹田博康所長

インバウンドが急増している古都・奈良には「宿が足りない」という問題があります。今回は、ホテルにする計画が決まり工事も始まった「奈良少年刑務所」の見学をメインに、奈良市内を巡り、「これからの奈良の観光とまちづくり」について考える機会としました。

竹田さんのご案内で、まず奈良県庁の屋上から興福寺や東大寺などを眺望しました。その後バスで「奈良少年刑務所」に移動。内部を見学するとともに、上地支所長から丁寧なご説明をいただきました。同刑務所は2016年度末に閉鎖。コンセッション方式で運営権がソラーレホテルズ&リゾーツなど8社に売却されました。今後、建物の耐震補強や改装をして、21年春にホテルなどの複合施設がオープンする予定です。

奈良少年刑務所を出た後は、バスで奈良公園に移動し「吉城園」を訪れました。「吉城園」は興福寺の子院があった場所ですが、大正期に現在の建物と庭園が造られた後、現在は奈良県の所有となっています。隣接する知事公舎とともに富裕層向けの宿泊施設の計画があるとのことです。

最後は県庁東側のバスターミナルの工事現場を訪れました。8655㎡の敷地に3階建ての建物が完成する予定です。展示施設やレクチャーホールなども備えた複合施設になる予定です。

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