2018年度第1回講演会(2月8日)のご報告

今年度の第1回講演会(全体例会)は、自ら起業し、また、政府の要職を務めるなどでテレワークの推進に力を入れている田澤由利さんに、実体験を踏まえながら、女性が活躍しやすい社会を作るには何が必要かというお話をいただきました。講演後は関西ベンチャー学会の林茂樹会長の司会で、会場参加者を交えた質疑応答を展開。働き方改革などを巡って、熱い議論が交わされました。詳細は以下の通りです。

テーマ 「女性が活躍しやすい社会とは」

日時 2月8日(木)18:30~20:00  終了後、交流会を開催

場所 備後町クラブ8階会議室(大阪市中央区備後町3-6-14)

講師 田澤由利・株式会社ワイズスタッフ(通称 Y’s STAFF)代表取締役
(株式会社テレワークマネジメント代表取締役)
質疑応答の司会は林茂樹・関西ベンチャー学会会長

講師プロフィル

田澤さんは奈良県生まれ。上智大学卒業後シャープに入社されましたが、出産と夫の転勤でやむなく退職され、子育て中でも地方在住でも仕事をしたいとフリーライターとして自宅で働き続けられました。その後、夫の転勤先であった北海道北見市で「在宅でもしっかり働ける会社を作りたい」と、様々なIT関連業務を受託する(株)ワイズスタッフを設立。2008年には、柔軟な働き方を社会に広めるため(株)テレワークマネジメントを設立し、企業の在宅勤務の導入支援や、国や自治体のテレワーク普及事業等を広く実施しておられます。自らも場所や時間に縛られない柔軟な働き方である「テレワーク」に関する講演や講義のほか、ブログ等で広く情報発信・普及活動を実践。内閣府政府コメンテーターなどの要職も務められており、主な著書としては「在宅勤務(テレワーク)が会社を救う」(東洋経済新報社)があります。

講演要旨

働き方改革には、長時間労働の是正だけでなく沢山のテーマがある。政府の働き方改革実行計画には「柔軟な働き方がしやすい環境整備」という項目があり、テレワークはその1つである。

日本が現在抱えている課題としては、労働力不足、東京一極集中、子育て中の社員や介護中の社員など制約社員の増加が挙げられる。これらの課題解決のためには、働き方改革が欠かせない。ただ、働き方改革を成功させるためには①単位時間当たりの生産性向上②制約社員の労働参加率の向上③繁閑に対応できる体制の構築――この3つが必要だ。これらをすべて達成できるのがテレワークである。

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を用いて時間や場所を有効に活用できる、柔軟な働き方のことである。人の働き方により、雇用型と自営型、また、モバイル型と在宅型に分類できる。働く場所も、会社、自宅、移動中、サテライトオフィスと、幅が広い。

このところ、テレワークを導入する企業は急速に増えている。少子高齢化に伴う人材不足が背景だ。現在、出産や育児、介護などで「職に就く意思があるのに求職活動をしていない」非労働人口が187万人に上っている。テレワークを導入すれば、これらの人々が仕事に就くことができ、人材不足の解消に役立つ。特に育児休業後の女性でも、営業などの第一線に復帰できるのが、大きなメリットと言える。

ただ、テレワークの導入は簡単ではない。テレワークを導入した企業では、「在宅でできる仕事がない」「部下が会社から離れていると、「仕事をしているのかどうかわからない」「会社で仕事をしている人の負担が増えるのではないか」「家にいると家族の目が気になり仕事にならない」などといった、否定的な声が聞かれる。このような声が多いと、在宅で仕事をしている人は、肩身が狭いと感じて頑張りすぎてしまう。それでは逆効果だ。

テレワークでは仕事が限られると思いこんではいけない。テレワークでもできるように、今の仕事のやり方を変えることが重要だ。目指すべきテレワークとは、仕事道具と仲間をクラウド上に置き、会社にいるのと同じ仕事をすることである。ただし、オン・オフの切り替えは自己申告になるので、仕事をする人のモラルが問われるが、部下との信頼関係を醸成しながら、上司がマネジメントできるツールが必要になる。何より大事なのは、全ての人が、テレワークを自分ごとと捉えることである。

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