【研究部会のご報告:2022年6月11日(土)】      女性×学生×外国人×社会起業のリアル② ゲスト:アンナ・クレシェンコさん

 

女性起業家研究部会では、2022年6月11日に、Flora株式会社CEOのアンナ・クレシェンコ氏をお招きし、「「苦難の連続、でも諦めない。」女性×学生×外国人×社会起業のリアル②」と題し、オンラインで研究部会を開催しました。ホスト役である本学会理事で女性起業家研究部会主査の湯川カナ(なりわいカンパニー株式会社代表)が研究部会を進行し、研究部会前半はクレシェンコ氏の講演、後半は対談と活発な質疑応答が行われました。

 

アンナ・クレシェンコ氏は、ウクライナ出身で、京都大学留学中の2020年12月にFlora株式会社を起業し、女性の生涯に寄り添うサービスを提供しています。妊婦・子育てママのサポート、月経・妊活・更年期など体調や身体の変化をAIによって記録する健康管理のアプリを開発、健康やメンタルヘルス、偏見や性の知識などの情報提供、セミナーなども開催しています。


創業のきっかけは、クレシェンコ氏の従姉妹が妊娠中にうつ病を発症し、その結果お腹の中の子を亡くし、悲しみ、嘆いていた姿を目の当たりにしたことであるということです。クレシェンコ氏自身も悲しい気持ちになったと同時に、「すべての女性が安心してマタニティライフを過ごすことが出来る社会」を創りたいという強い思いが、会社のコンセプトにもなっています。


講演では、事業は最初から成功したわけではなく、失敗もたくさんあったこと、素晴らしい仲間と出会えたこと、クラウドファンディングも成立したことなどから、事業も軌道に乗ってきたというお話を伺いました。また、日本に来た時に感じたのは、集団意識が強く、多数派意見を尊重することだといいます。日本人にヒアリングする時、日本人は1時間くらい話さないと、本音をなかなか話してくれないというエピソードも紹介されました。


質疑応答では、「アプリを無償提供しないのか」という質問に対して、有償でサービスを提供することで、良いサービスと持続可能な経営につながると回答。また、きちんと収益を上げることができれば、世界的にインパクトを与えることができるといいます。Floraのアプリは、日本語だけではなく、英語など複数言語で開発されています。


起業について、ウクライナでは、日本よりも起業するリスクは少なく、学生起業も多いといいます。社会の支援が少ないウクライナでは、安定的な選択肢が少ないので、起業してもよいという感覚であり、みな一生懸命やっています。日本では外国人が起業する例は少ないため、支援の壁、語学の壁、本音の壁を感じることもあるそうです。


講演会は盛りだくさんの内容で、盛況のうちに終了しました。本講演会は、Zoomによるオンラインと会場(武庫川女子大学)で関係者が参加するハイブリッド形式による開催でした。また、外国人スピーカーであるクレシェンコ氏に加え、中高大学生、男女など多様な職業・立場の参加者が集まる講演会となりました。クレシェンコ氏の語り口は穏やかで、日本人以上に丁寧な日本語の言葉遣いが印象的でした。

 

なお、今回の参加費と会場でお預かりした寄付金はすべて駐日ウクライナ大使館へ寄付させていただきました。ありがとうございました。

 

※ダイバーシティ研究部会にご関心のある方やご質問等などは、いつでも関西ベンチャー学会ダイバーシティ研究部会事務局<w.kansai.venture@gmail.com>までお知らせくださいませ。

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