2015年度第1回講演会のご報告

2015年度第1回講演会のご報告

関西ベンチャー学会は2015年度第1回講演会(全体例会)を7月に開催しました。概要は以下の通りです。

【関西ベンチャー学会 2015年度 第1回講演会】

テーマ 「行動観察」が企業を変える

日 時 7月14日(火) 午後6時30分~9時

講演会 午後6時30分~8時  交流会 午後8時~9時

場 所 備後町クラブ3階ホール(交流会は2階レストラン)

大阪市中央区備後町3-6-14アーバネックス備後町ビル

講 師 磯龍介・大阪ガスファイナンス取締役

内 容

顧客の動きなどを観察・記録して心理学的な分析を加え課題解決につなげる「行動観察」。従来の調査手法にとらわれないアプローチで、対象者が意識していない潜在的なニーズなどを掘り起こし、新しい商品やサービスを生み出すことのできる方法として、現在注目を集めています。この「企業を変える」可能性のある「行動観察」について、大阪ガス行動観察研究所の代表常務取締役事業本部長として、「行動観察力育成講座」の講師やセミナー講師などを務められた磯龍介さん(現・大阪ガスファイナンス取締役)に伺いました。

磯さんは1983年に関西学院大学法学部卒業後、大阪ガスに入社し、2001年に大阪ガス行動観察研究所の前身である株式会社エルネットに出向しました。このエルネットにおけるマーケットリサーチ業務の中で、行動観察が商品開発やサービス開発にとって極めて有効な手法になりうることを見出したと、同社で行動観察の研究が始まったいきさつを話しました。

磯さんによると、行動観察の最大の特長は、アンケートやインタビューでは得られない「言語化されない事実・情報」が得られること。「企業も顧客も気づかなかった価値を把握できることが、これまでの手法とは違う点」と磯さんは語りました。そのうえで磯さんは、行動観察の実施プロセスとして、発見→再構成→着想→創造→実現という、5つのステップを踏んで新しい価値やイノベーションにつながるソリューションの提供に至るという、具体的な手順を示し、重要なのは現場で発見し収集した事実を、新たな枠組みで解釈し(リフレーム)インサイト(洞察)を導き出すという再構成であるということも強調しました。

また、磯さんは、行動観察の手法は商品やサービスの開発というマーケティングリサーチの手法としてだけでなく、作業現場のイノベーションなどサービスサイエンスの手法としても注目されると述べ、「現場」に行って事実を把握すること、場にいる人々の「個」を深く理解するよう務めることなどが、重要なポイントであると指摘しました。さらに、気をつけなければならないのは、先入観を持つことで、バイアスがかかると本当の姿が見えなくなるという例を、映像を使いながら解説。「思い込み、決め付けを現場に持ち込んではならない」と締めくくりました。

講演後は関西ベンチャー学会の林茂樹会長の司会で、会場参加者を交えた質疑応答を展開。引き続いて開かれた交流会でも、活発な議論が続きました。

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