関西ベンチャー学会 第14回年次大会
「少子高齢社会における女性企業家の役割」
2015年関西ベンチャー学会の第14回年次大会が、2015年3月7日、関西大学千里山キャンパスで開催されました。午前中の会員総会、会員研究発表に続いて、午後から基調講演、パネルディスカッション、学生ビジネスプラン発表会が行われ、会員研究発表では、新事業開発の見極めやマーケティング戦略などに関する研究成果が発表されました。午後の基調講演では、働く母親を支援するサービスを展開する企業「マザーネット」の上田理恵子代表取締役社長が登壇。起業のいきさつや経営理念などについて語りました。パネルディスカッションでは上田社長に加え、日本政策投資銀行の栗原美津枝常勤監査役、有限会社アクティアの松村敦子代表取締役が登壇し、三根早苗関西ベンチャー学会副会長による司会進行で、女性起業家の役割、強み、起業を目指す女性へのメッセージなどについて話し合いました。学生ビジネスプラン発表会では、関西の5大学4グループの学生たちがビジネスプランを発表。関西学院大学・大阪経済大学のグループが発表した「日本企業に就職したい留学生と、留学生を採用したい中小企業のマッチングサービス」が最優秀賞に輝きました。夕方に開催された懇親会では、学生ビジネスプラン発表会の表彰式などが行われ、学生たちも加わった賑やかな懇談の輪ができました。
[ 趣 旨 ]
日本では世界に例をみないスピードで少子高齢化が進行しています。国立社会保障・人口問題研究所は、2060年には、現在と比べて労働人口は2/3に減少し、65歳以上の人口の比率は40%になると予測しています。このような状況では、女性が子供を産み育てながら安心して仕事をすることができる社会が必要です。そのような社会を実現させる鍵をにぎっているのは女性起業家ではないでしょうか。関西ベンチャー学会では、少子高齢社会における女性起業家の役割について考えていきたいと思います。
主 催 関西ベンチャー学会大会実行委員会
後 援
近畿経済産業局、大阪府、関西経済連合会、関西経済同友会、大阪商工会議所
日本政策金融公庫、関西ニュービジネス協議会、日本経済新聞社大阪本社
毎日新聞社、日刊工業新聞社
[大会プログラム ]
日 時 2015年3月7日(土)
会 場 関西大学 千里山キャンパス 第2学舎2号館C棟5階
懇親会会場 新関西大学会館南棟4階 レストラン チルコロ(Circolo)
10:10 受付開始
10:30 会長挨拶、主催校挨拶 (C507教室)
10:35 関西ベンチャー学会会員総会 (C507教室) 、
11:00 会員研究発表
開始・終了宣言:高増大会実行委員長
研究発表1
コメンテータ :釣島平三郎(太成学院大学)
会場:C505教室 (発表20分、質疑応答5分 計25分)
①11:00~11:25 北 真収 岡山大学大学院社会文化科学研究科 教授
「新興企業の手続き的公正と顧客の声の促進」
②11:30~11:55 大谷隆児 立命館大学大学院MOT研究科
「製造業中小企業の新事業開発の好機認識についての一考察」
研究発表2
コメンテータ :坂川弘幸(関西ベンチャー学会 理事)
会場: C506教室 (発表20分、質疑応答5分 計25分)
①11:00~11:25 畑中艶子 奈良女子大学 キャリア開発支援本部
「中小食品企業のマーケティング戦略~ツリー型思考法の提起~」
②11:30~11:55 福嶋幸太郎 大阪ガスファイナンス㈱代表取締役社長
「CMSキャッシュ・プーリングの経済的効果と運用課題」
12:00 昼食休憩(理事会) 会場 C501教室
13:00 基調講演 会場 C507教室
株式会社マザーネット 代表取締役社長 上田 理恵子氏
テーマ「女性の視点のソーシャルベンチャー ~働くママにやさしい社会をめざして~」
上田理恵子氏プロフィール
17年間勤めた会社を退職し、仕事と家事・子育ての両立に悩んだ自身の体験を生かし
ワーキングマザーを総合的に支援する会社「マザーネット」を設立。働く母親が本当に困ったときに役立つサービスをめざし、家事・育児を代行し、急な子どもの発熱や残業時にも対応するマザーケアサービスを中心に、電話悩み相談や、育児休暇復帰セミナー、長期休み中の子ども自然体験スクールの開催、月刊情報誌の発行など、きめ細かいサービスを展開している。2002年10月には「女性のための創業マニュアル」を発行。
2006年には“第1回にっけい子育て支援大賞”、2007年には“女性のチャレンジ支援賞(男女共同参画担当大臣賞)”、2010年には関西財界セミナー賞2010輝く女性賞を受賞。2009年3月に初めての著書「働くママに効く心のビタミン」(日経BP社)を出版。
[基調講演内容]
上田社長は2001年に立ち上げた「マザーネット」の概要を説明した後、創業までのいきさつについて語りました。この中で上田社長は、自分自身の子育ての体験から、働く母親には優しくない社会であることを実感し、働く母親の会「『キャリアと家庭』両立を目指す会」を1994年に設立、この会に寄せられた悩みがおよそ2万件にも上り、「特に、子どもが病気の時に預けるところがないという悩みが最も多かったため、病気の子どものケアをメインの事業とする会社を立ち上げる決意をした」と語りました。また、起業の準備には5年をかけ、起業塾などで「使命感、大きな志の大切さを学んだ」とも述べました。
起業した後も、オフィスを貸してもらえなかったり、資本金を預ける銀行がなかったりと、「起業する女性にもやさしくない社会であることを実感した」ものの、「尊敬できるパートナーができ、働く女性に優しい社会を作りたいという明確な理念に共感を持ち、応援してくれる仲間たちも集まって、少しずつ体制を整えながら成長を続けてこられた」と振り返りました。そして、「社会が求めている事業は必ず伸びる。スタッフ(社員・パート)やケアリストがどうすれば働きやすくなるかを常に考えること。どれだけ大きな事業をするかより、どれだけ1件1件に心を込めたかが大事」と述べ、「マザーネットという会社がいらなくなる社会を目指したい」と結びました。
14:00 パネルディスカッション
テーマ: 「少子高齢社会における女性起業家の役割」
司会 三根 早苗(パワーエンハンスメント代表取締役 関西ベンチヤー学会副会長)
パネリスト
上田理恵子(株式会社マザーネット 代表取締役社長)
栗原美津枝(株式会社日本政策投資銀行 常勤監査役(初代女性起業サポートセンター長))
松村 敦子(アクテイア代表取締役 関西ベンチヤー学会理事)
パネリストのご紹介
栗原美津枝氏プロフィール
現職:日本政策投資銀行 常勤監査役(初代女性起業サポートセンター長)
略歴:
日本開発銀行入行後、文部科学省出向、コーポレートファイナンスや地域振興事業の
プロジェクトメイクを担当。財務部等にて銀行統合事業等に携わった後、2003年~
2008年、課長としてM&Aを統括。この間、地方銀行とのネットワークを生かし、
地域の企業再生やサービス業の業界再編案件、グループ再編を多く手掛ける。2008年~2010年、米国スタンフォード大学国際政策研究所Visiting FellowでクロスボーダーM&Aやベンチャーファイナンスを研究。帰国後、財務部次長、医療・生活室長を経て、2013年4月、ヘルスケアやサービス産業を担当する企業金融第6部の新設に伴い部長就任。この間、2011年11月に「女性起業サポートセンター」を自ら立ち上げ初代センター長を務める。2015年2月より現職。
松村敦子氏プロフィール
松村 敦子(まつむら・あつこ)1960年生まれ 京都女子大学短期大学部(食物専攻)
中学校家庭科講師(工夫パジャマ指導)。結婚退職後、女児出産. 専業主婦(20年間)のち起業。※ソウルメイトだった義母が?尿管がん‘になり、脱毛(抗がん剤の副作用)で悲しんでいた時に看病の傍ら 帽子を手作りして贈った。 その帽子(バンダナ帽)を商品化し、2005年 会社設立。
15:10 休憩
15:20 学生ビジネスプラン発表会
司会 高増明 (関西大学)
審査委員長 三根早苗(㈲パワーエンハンスメント代表取締役)
審査委員 大野長八(大野アソシエーツ代表)、釣島平三郎(太成学院大学)
会場: C505教室 (発表10分、質疑応答5分 計15分)
1.15:20~15:35 BBB伴 雅樹、増田 貴明、白羽 弘樹、上山 貴大(近畿大学 経営学部)
「外来魚ビジネス」
2.15:35~15:50 林 宏偉、賀 艶(関西大学大学院 社会学研究科)
「中国人観光客向けのGPSを利用した観光情報スマホアプリの開発」
3.15:50~16:05 由比美穂、雪谷周平、上田紗加、峯岸志帆(追手門学院大学 経営学部)
「ブルブル多機能まくらさん」
4.16:05~16:20 田中裕人、山崎 源 (関西学院大学 商学部、大阪経済大学 人間科学学部)
「日本企業に就職したい留学生と、留学生を採用したい中小企業のマッチングサービス」
16:35 閉会挨拶 高増大会実行委員長
17:00~ 懇親会開始 新関西大学会館南棟4階 レストラン Circolo(チルコロ)
司会:日野副会長
学生ビジネスプラン授賞式
受賞式の司会:高増大会実行委員長
賞状授与:林会長
次年度開催校挨拶:釣島常任理事(太成学院大学経営学部長)
19:00 大会閉会挨拶 :高増大会実行委員長