2014年度第2回講演会のご報告

関西ベンチャー学会は2014年度第2回講演会(全体例会)を11月に開催しました。概要は以下の通りです。

【関西ベンチャー学会 2014年度 第2回講演会】

テーマ  「関西発のイノベーションとは何か~2014年度版関西経済白書を読み解く」

日 時  11月18日(火) 午後6時30分~9時

講演会 午後6時30分~8時  交流会 午後8時~9時

場 所  備後町クラブ3階ホール(交流会は2階レストラン)

講 師  小川一夫・大阪大学社会経済研究所所長・教授

「イノベーションのための処方箋」

角勝・大阪市経済戦略局イノベーション企画担当課長代理

「グローバルイノベーション創出支援事業ハッカソンについて」

内 容

関西経済の再活性化のためには、独自のイノベーションの展開が喫緊の課題です。2014年度版関西経済白書でも、関西発のイノベーションの必要性がクローズアップされています。そこで今回は、関西経済白書の編集に当たられた大阪大学社会経済研究所の小川一夫所長(アジア太平洋研究所主席研究員・リサーチリーダー)に、白書の内容を元に、関西におけるイノベーションの課題を語っていただいたほか、イノベーションを生み出すための1つの取り組み例として、大阪市が運営する「大阪イノベーションハブ」の活動を、大阪市経済戦略局課長代理の角勝さんに報告していただきました。

最初に登壇した小川所長は、関西経済の長期低迷が続いている理由として、全要素生産性の伸びが他の地域より低いことを上げ、その中でも生産性を伸ばしている企業があるとして、「これらの企業がなぜ高い生産性の伸びを達成できているのか、その秘訣を探ることで、関西経済再活性化のヒントが得られる」と述べました。そして、リーマンショック後の2009年度から2011年度にかけて、生産性を伸ばすことができた企業にヒアリング調査をした結果、「これらの企業は、①多岐にわたる取り組みを通じてイノベーションを生み出している②人材の多様性を成長につなげる仕組みを持っている、すなわち、グローバル人材や女性の活用、異なる部署との連携などを進めている③企業理念を社員に浸透させている④オープンイノベーションの進展や大学との連携強化などで外部資源を有効活用し、海外市場も積極開拓している――などの共通項がある」と結論付けました。その上で、これらの調査結果から浮かび上がる課題として、「イノベーションを創出し、全要素生産性を上げるため、留学生の活用などでグローバル人材が活躍できる環境を整えること、子供を持つ女性が安心して働ける環境をつくること、さらに、強い技術力を持つ中小企業を生かせる仕組みをつくることが重要」と語りました。

続いて登壇した角氏は、JR大阪駅北側のグランフロント大阪・ナレッジキャピタル内に大阪市が開設した「大阪イノベーションハブ」を紹介。「イノベーションを起こしたいという理念を持った人なら誰でも利用できる開かれた施設」と強調しました。そして、同施設の事業の1つである「ハッカソン関西」の内容についての報告に移りました。「ハッカソン」とは、ITのエキスパートである「ハッカー」と「マラソン」を組み合わせた造語で、参加するチームが数日間、集中して新しいアプリやサービスなどを生み出す作業に集中するイベントのこと。角氏は「関西では特に、得意のものづくり技術とITを組み合わせて、新たな製品を生み出す『ものアプリハッカソン』と呼ぶ取り組みをしている」と語り、これまでに「ハッカソン」で生まれた製品を、使い方の実演を交えながら、成果の具体例として紹介しました。そして「このプロジェクトを海外にも発信していきたい」と、グローバルイノベーション創出への意気込みを語り、「そのための土台となる、個人や団体の参加メンバーをもっと拡大したい」と述べました。

講演会終了後の交流会では、参加者同士の活発な情報交換が行われました。

 

 

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