関西ベンチャー学会第15回年次大会のご報告

関西ベンチャー学会第15回年次大会のご報告

「社会構造の変革期における社会起業家の役割」

関西ベンチャー学会は第15回年次大会を、2016年3月12日、大阪市中央区の大阪ガス備後町クラブで開催しました。午前中の会員総会、会員研究発表に続いて、午後から基調講演、パネルディスカッション、学生ビジネスプラン発表会を開き、会員総会では会長指名理事(16名)、監事(岸秀隆氏から井上貴司氏に交代)、2015年度監査報告、同年度決算、2016年度事業計画、同年度予算、部会実施計画の各議案がいずれも満場一致で承認されました。

会員研究発表では、企業のマーケティング戦略やイノベーション創出における大学の役割などに関する研究成果が発表されました。午後の基調講演では、地域福祉に詳しい牧里毎治・関西学院大学教授が登壇。地域における社会起業の意味などについて語りました。パネルディスカッションでは牧里教授に加え、地域で福祉事業などに取り組む三和清明、高見一夫、山王丸由紀子の各氏が登壇し、釣島平三郎・大会委員長(関西ベンチャー学会理事)による司会進行で、社会企業家の役割などについて話し合いました。

学生ビジネスプラン発表会では、関西の4大学の学生たちがビジネスプランを発表。関西学院大学のグループが発表した日本食の魅力を世界に発信する「Be a Japanese Chef!」が最優秀賞に輝きました。夕方に開催された懇親会では、学生ビジネスプラン発表会の表彰式などが行われ、会員・非会員に学生たちも加わった活発な交流・意見交換の輪ができました。以下、年次大会の趣旨と概要です。

 

関西ベンチャー学会 第15回年次大会

「社会構造の変革期における社会起業家の役割」

 

[ 趣 旨 ]

最近のグローバル化の進展に伴い、我が国は他国に対して相対的な地位が低下しつつある。それは急速な少子高齢化などによる社会保障費の急増により国家財政が緊迫してきたからである。一方で社会の複雑化と景気の低迷により地域問題が山積してきたが、先に挙げた国家や地方自治体の財政危機で多くの社会問題はお役所の行政指導では解決できなくなってきた。それで今までの社会構造を変革する新たな動きとして民間的発想から問題解決に取り組む社会起業家の活動がめだってきた。すなわち、国家や地方を再生させる一つの鍵を握っているのは社会起業家であると言われるようになった。関西ベンチャー学会では、社会構造の変革期における社会起業家の役割について考えていきたいと思う。

 

主 催 関西ベンチャー学会大会実行委員会

 

後 援

近畿経済産業局、大阪府、関西経済連合会、関西経済同友会、大阪商工会議所

日本政策金融公庫、関西ニュービジネス協議会、日本経済新聞社大阪本社

毎日新聞社、日刊工業新聞社、大阪ガス

 

[大会プログラム ]

日 時  2016年3月12日(土)

会 場  大阪ガス備後町クラブ

 

10:10 受付開始

10:30 開始宣言:釣島大会実行委員長会長挨拶、
会長挨拶

10:35 関西ベンチャー学会会員総会           、

11:00 会員研究発表

 

研究発表1

コメンテータ :坂川弘幸(常任理事)

①11:00~11:25

赤松裕二(大阪市立大学大学院創造都市研究科博士後期課程)日本と韓国における化粧品業界のブランド戦略-資生堂とアモーレパシフィックを中心に-

②11:30~11:55

林 宏偉        (関西大学大学院社会学研究科博士後期課程)中国オンラインゲーム企業の設立と発展-盛大社に焦点をあてて-

 

研究発表2

コメンテータ :大久保良雄(常任理事)

中村晃司        (関西学院大学大学院国際学研究科博士後期課程)イノベーション創出型政府調達(SBIR)と大学の役割に関する日米比較

②11:30~11:55

永田祥子        (広島大学大学院教育学研究科博士課程後期)異文化理解への取り組み―アメリカの文化施設の教育プログラムに着目して―

 

12:00 昼食休憩(理事会)

13:00 基調講演

牧里毎治(関西学院大学人間福祉学部教授 大阪ボランティア協会理事長)

テーマ「社会構造の変革期における社会起業家の役割」

 

牧里毎治(まきさと つねじ)氏プロフィール

1973年 同志社大学文学部社会学科卒業

1975年 大阪市立大学大学院家政学研究科修士課程修了

1977年 大阪市立大学大学院生活科学研究科博士課程退学

(旧)大阪社会事業短期大学講師 (1982年)大阪府立大学社会福祉学部助教授(1990年)を経て

1995年 大阪府立大学社会福祉学部 教授

カリフォルニア大学社会福祉大学院ハ゛ークレイ校・客員研究員(1992~93年)を兼務

2001年 関西学院大学社会学部 教授

放送大学客員教授(2002~2010年)を兼務

2008年 同大学、人間福祉学部 社会起業学科 教授

学部長(2012~2013年)、大学評議員(2010~2011年)を兼務

2016年 現在に至る。

 

基調講演内容

牧里教授はまず、社会的問題を解決するためには、政治家・行政職員による政治的・行政的解決だけでなく、企業・事業者による経済的活動も必要と指摘し、事業で社会に役に立つ、社会を変えていくという発想が大事だと語りました。そして、西欧における難民問題のように、日本においてもニート、ひきこもり、不登校、ホームレス、虐待など、社会的排除の問題が進行しており、無縁社会という名の絆の欠如、セーフティネットの崩壊が起こっていると懸念を示したうえで、孤立している人たちに居場所と出番をつくることを事業化しなければならないと強調しました。社会的企業として注目される類型は、主婦の消費生協運動からうまれたワーカーズ・コレクティブ、低所得高齢者の失業対策から派生したワーカーズ・コープ、障碍者作業所、福祉向上に出自のあるソーシャル・ファームなどがあり、特に地方が疲弊している今は、地域社会を支える基盤としての「職域社会」が必要とされる。高齢者や障害者などが就労参加・地域貢献ができる社会、仕事でつながる社会をつらなければならない。そこに社会起業の意味があると締めくくりました。

 

13:45 パネルディスカッション

コーディネーター 釣島平三郎  (大会実行委員長・理事)

パネリスト

三和清明(おおさか元気ネットワーク理事長、寝屋川あいの会理事長)

高見一夫(A’ワーク創造館(大阪地域職業訓練センター)館長 (株)ワーク21企画代表取締役)

山王丸由紀子(フェリスモンテ理事長、住民参加型在宅福祉サービス団体全国連絡会代表幹事)

 

パネリストのご紹介

三和清明(みわ きよあき)氏プロフィール

現職 おおさか元気ネットワーク理事長、寝屋川あいの会理事長

1938年生まれ 神戸大学経済学部卒

資格 中小企業診断士、インキュベーション・マネージャー

経歴 1961年 松下電器産業入社 製造事業部(白物家電 住宅設備 空調)&設備営業本部

2001年 NPO法人 寝屋川あいの会設立(理事長)

2004年 NPO法人 北大阪経営支援マスターズ(理事長)(地域中小企業経営支援)

2004年 NPO法人 地域通貨『ねやがわ』設立(理事長)

2005年 NPO法人 おおさか元気ネットワーク(理事長)

2006年 NPO法人 寝屋川市駅周辺まちづくりネットワーク(副理事長)

 

高見一夫(たかみかずお)氏プロフィール

株式会社ワーク21企画代表取締役、中小企業診断士。中小企業の経営相談、経営支援に従事しつつ、障がい者の仕事づくり、福祉のまちづくり等に関する調査・研究・企画、コミュニティビジネスの支援に取り組んでいる。

NPO法人おおさか元気ネットワーク副理事長、大阪府商工会連合会地域貢献型企業経営サポートセンター専門相談員、A´ワーク創造館(大阪地域職業訓練センター)館長を務める。

 

山王丸由紀子(さんのうまるゆきこ)氏プロフィール

1947年生まれ。関西学院大学文学部卒業。

父の介護の経験から1999年に特定非営利活動法人フェリスモンテを設立し、理事長に就任。

自分たちが住み慣れた地域で最期まで暮らせるようにと、できることから活動を開始。

たすけあいサービス(住民参加型在宅福祉サービス)、介護保険事業(ヘルパー派遣、ケアプラン、デイサービス)、配食サービス、グループハウス、コミュニティ喫茶、つどいの広場事業(乳幼児とその保護者の交流)、プレ幼稚園(幼児一時預かり)、就労困難者等支援、障害者総合支援事業(ヘルパー派遣)、移動サービス、サークル活動など、大阪市の旭区、生野区を拠点に約100名のスタッフ・ボランティアで実施。

住民参加型在宅福祉サービス団体全国連絡会代表幹事(2006年~)、大阪市立古市生涯学習ルーム「楽しい茶道教室」講師、NPO法人おおさか元気ネットワーク理事(2005年~)、大阪宅老所グループハウス連絡会世話人代表(2005年~)、大阪有償ボランティア団体連絡会代表(2015年~)を兼務。

 

15:10 休憩

15:20 学生ビジネスプラン発表会

司会 釣島大会実行委員長

審査委員長 三根早苗(理事)

審査委員 大野長八(常任理事)、大久保良雄(常任理事)

①15:20~15:35

村田あす実、藤沢柚奈、藤井大地(関西学院大学国際学部) Be a
Japanese Chef!

②15:35~15:50

中野愛菜        (近畿大学経営学部) ごはんのお供から次世代へ繋げる~阪神・淡路大震災を風化させない~

③15:50~16:05

池原梨奈(大阪経済大学情報社会学部) ウェアラブル端末を用いた健康管理・応急手当サービス「BANDICAL」

④16:05~16:20

田丸綜一郎(追手門学院大学経営学部) デート下見代行サービス

 

16:30 閉会挨拶 釣島大会実行委員長

17:00~ 懇親会

司会:宮田副会長

学生ビジネスプラン授賞式

受賞式の司会:釣島大会実行委員長

賞状授与:林会長

次回大会開催の挨拶:深見理事(四天王寺大学)

19:00 大会閉会挨拶:釣島大会実行委員長

 

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