CB・NPO部会
第9回 CB・NPO研究部会例会概要
開催要領
とき・ところ
日時:2002年4月15日 18:30〜20:30
場所:大阪産業創造館17F B室
主題:スポーツNPOの構想
講師 :植田真司氏(ニーズ創造研究所)
内容
「スポーツNPO構想」に関する植田さんのお話は多岐にわたっているが、
構想の基本的なコンセプトは以下の二つに集約される。
【基本コンセプト】
●「スポーツ」の意味を問い直す
わが国では「スポーツ=競技」という考え方が一般的であり、学校の運動部などでは今でも「根性」など精神論が強調される傾向にある。けれども、スポーツの本来の意味は「遊んだり、気分転換すること」なのだ。
そこから、植田さんの
・いつでも、どこでも、誰でもが、自由に、好きな時に身体を動かすことがスポーツである
・スポーツは人と人のコミュニケーションの手段である
というテーゼが生まれる。
こうした「本来のスポーツ」を多くの市民が楽しむ風土を育成することによって、スポーツ産業発祥の地である関西の産業再生に結び付けたいというのが植田さんたちの考えだ。
それでは、植田さんたちは、それをどのような形で実現しようとしているのだろうか?
●スポーツと文化との合体運営で経済的に自立したNPOを目指す
植田さんたちが目指しているのは、行政からの助成金をあてにしないで、自らが事業を営み、収益を上げることのできる経済的に自立したNPOである。
なぜNPOかと言えば、産官学が連携し、市民にスポーツライフを提供するためには、四者を媒介するNPOの存在がキーになると考えるからだ。
植田さんは、スポーツだけで収益を上げるのは難しいという。わが国では、スポーツは学校でタダでやるものという考え方が一般的で、スポーツにお金を払うという習慣があまりないからだ。
そこで、植田さんたちが考えているのは、お金を払うことが抵抗なく受け入れられている「文化事業」と「スポーツ振興」とをセットにして事業化することである。例えば、スポーツクラブとパソコン教室などのカルチャーセンターとを一体運営することにより、カルチャーセンターで得た収益をクラブに循環させるというような方法だ。
食べ物も文化だと考える植田さんは、スポーツ施設やレクレーション公園で提供される食事の貧しさを指摘する。これもそれなりのレストランや外食産業と提携し、美味しい食事を提供するようにすれば、利用者がもっと増え、スポーツ施設や公園が市民のコミュニケーションの場として活かされるようになるという。そのターゲットは時間とお金に余裕のある中高年層だ。
【課題】
出席者や植田さんからは次のような課題が挙げられた。
●既存のスポーツ組織との関係をどう作っていくか?
学校における週休五日制の施行にともない、文部科学省は地域スポーツクラブのNPO化を推進しようとしており、これは植田さんたちにとって追い風になっている。
しかし、少年野球やママさんバレーなど、長い歴史をもつ地域スポーツはオリンピックを頂点としたヒエラルキー社会を形成しており、スポーツ用品店とのつながりなど、他者がなかなか入り込めない閉鎖的な構造をもっている。
こうした既存の組織とどう関係をつくっていくのかが、植田さんたちが、「スポーツにおける新しいムーブメント」を興していく上で、大きな課題となるだろう。斗うのか?、それとも共存するのか?選択が問われるところだ。
●行政の壁をどう突破するか?
植田さんたちは、現在行政に対して「NPOによる公園やスポーツ施設の運営受託」を提案している。しかし、感触は必ずしも芳しいものではないという。行政で働く者にとってみれば「自分たちの働く場を奪われる」ことにつながるからだ。
植田さんたち「グリーンスポーツクラブ」の「グリーン」は、「教育」、「環境」、「健康」の三つを意味しているという。まだまだこれから解決すべき課題はあるにしても、こうした広い分野を射程に入れた植田さんたちの運動が、閉鎖的なスポーツ社会に新しい風を吹き込んでくれることを期待したい。
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