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国際化研究部会 第29回例会
概要とコメント
とき・ところ
日時: 平成16年1月10日(土)6:00〜8:00p.m.
場所: 大阪産業創造館6階会議室A
第1報告 テーマ:「ベンチャービジネスと成長戦略 ・・・国際ブランド導入にみるベンチャー成長戦略の一事例・・・」
報告者:村上 薫氏
The University of Wales(英国国立ウエールズ大学)大学院(MBAプログラム)助教授
M.B.A.コンサルティング代表、M.B.A.ベンチャーサポートセンター代表
第2報告 テーマ:「我が国繊維中小企業の国際化と行政施策」
報告者:松田 正夫氏
(株)大阪繊維リソースセンター顧問
概要
第1報告
人間に例えると乳幼児である新規創業した企業がいかに存続し成長していくプロセスを維持していくかは鋭く経営学の問題であり、“避けて通れない問題”である。ベンチャー企業の5年生存率が低いというデータもあり、せめて10年以上生存し活動する企業にするにはどうしたらいいかという研究者的関心およびベンチャー実体験者としての支援実務家の関心のもとに、戦略論敵アプローチの側面から本事例を取り上げた。
ベンチャー企業は「起業家の革新的な着眼点をもとに創出された技術・サービスやビジネスモデルを武器に、意欲的に社会(市場)へうって出る企業」であり、創業者の「ビジネス創造のプロセスの実行能力」つまり自分の着眼点を具体的な形にしたいという起業家精神を含み、さらに企業を興してビジネスを続ける活動的能力と理解する。
本発表でとりあげた実証例は一人の創業者によってSOHO的レベルから企業化し、23年生存している企業である。ニッチな音楽分野であるがコンテンポラリーミュージック主体の音楽教育を業としている。1980年創業以来、五年ごとに大きな分岐点に直面しており、その時に選択された戦略が次の成長ステップにつながり、創立後10年で真のビジネスドメインを確立している。このベンチャー企業が大きく羽ばたく要因となったのが、国際ブランド導入・提携戦略であった。本発表では、この一連の成長プロセスを創業者へのインタビューを基に検証している。
本事例から理解できることは、それぞれのマイルストーン毎に選択された戦略がベンチャー企業の成長を確信するものであったこと。具体的には創業期の質的志向から音楽教育の幅の拡大、真のビジネスドメインの確立そして国際的評価の高いブランド導入・提携戦略である。ベンチャーが創立時からのビジネスドメインに固執すると、成長はおのずと限界にぶつかる。その限界を超えるための一つのトリガーとして国際的評価の高い海外ブランド導入が“成長”という戦略面で重要な要素として働いた例である。競争戦略上、他企業の参入を防ぐ“Block
the Competitor”機能を果たし、競争優位性を持続させるものとして重要であることが理解できる。
本事例は、ベンチャー企業をどう成長に導いていくかという支援実務家にとって、非常にImplicationに富んだ例であり、今後のベンチャー企業研究にとっても興味のある例である。
(村上薫記)
第2報告
(1) 繊維産業の現状と課題
1950年代から1960年代にかけて日本の基幹産業として、戦後の我が国の経済を支えてきた繊維(日本総輸出の30%台のシェアーを占めた)も現状では斜陽産業とさえ言われる状況になっている((02‘で1.8%のシェアー)。しかしその繊維のモノつくりを支えている産地は依然として根強く、過去10年の比較で企業数、従業者数、生産額ともに激減(35%−42%)しているが、他産業と比べトップの座は譲っていない。しかしながら、85年のプラザ合意を境に貿易において出超であった繊維産業も逆転し円高、国内人件費の高騰もあり、大幅な入超産業へと転換した。
01‘では繊維品の輸入浸透率は重量ベースで67.4%、その内衣料では実に87.7%という状況である。さらに02‘では夫々70.8と89%と伸長している。量産品種は中国を中心に、高額品は欧州からとその攻勢は激しい。
人件費の差だけでなく、メーカー出し値の5倍の小売値と言う日本独特の繊維の複雑な流通構造にもその原因がある。この点の克服に日本繊維再生のポイントがあろう。日本繊維の糸、加工技術は世界水準のトップにあることも、合わせ考えるべきである。
(2)進国的繊維産業国を目指して
現在、繊維を中心としてファッション産業では世界に冠たるイタリアも70年代までは仏、英などの下請け的地位であった。そのイタリアでさえ衣料の輸入は重量で輸出を上回る(00‘で29万トン対22万トン)、ただし、金額では輸出が2倍(同年、11兆リラ対22兆リラ)である。結果として大幅な出超となっている。決して安くない人件費を大きく含んだ二次製品においてである。日本も糸、素材、染め加工の技術を生かし高付加価値化を狙い、まさに、イタリア的、言い換えれば、繊維は先進国型産業に転換せねばならない。
(3)繊維の行政施策と方向
03‘年経済産業省が「内在する弱点の克服と強い基幹産業への復権を目指す」とする新繊維ビジョンを発表した。実戦面として川中繊維製造業の自立と、輸出振興策を打ち出した。モノつくりを担う川中が自立を目指し、自ら消費者に近づくための自身の内部改革と流通改革をおこなうための行政支援と、海外に向けての川中を中心とする輸出振興支援である。03‘年はやる気のある企業に対し110社に30億円の支援をおこない、今後5年で150億円を投じる。
一方、03@年の上海インターテックス展などに出展する企業への支援などを行い大きな反響をよんだ。セーフガード等守りの国際化から攻めの国際化に向かって、昨年はJETROの輸出振興機能の充実、JTEO(日本繊維輸出機構)の設立などがみられた。
製造業の国内回帰現象の見られる中、繊維も真の意味での国際化に官民あげて歩み始めた(松田正夫記)。
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