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国際化研究部会 第28回例会
概要とコメント





とき・ところ

日時: 平成15年12月20日(土)6:00〜8:00p.m.
場所: 大阪産業創造館6階会議室A

第1報告 テーマ:「最近のソフトウエア工学」
〜アジア的価値の共有〜

報告者:角田 雅照
         奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 博士前期課程2年

第2報告 テーマ:「京都試作ネットのめざすもの」

報告者:鈴木三朗
         京都試作ネット代表
         株式会社 最上インクス 社長     

概要
第1報告

 ソフトウェア工学はソフトウェアを工業製品として捉え、ソフトウェアとその開発過程を工学的に扱う分野である。ソフトウェア開発の歴史を技術的側面から捉えると、1970年代にプログラミング技法、1980年代の開発ツールと環境、 1990年代では開発環境のオーオプン化といったソフトウェア開発のための技術が開発されている。一方、ソフトウェア開発の管理における重点事項は、1960年代の機能から、スケジュール、コスト、品質へと移行している。最近のソフトウェア開発の管理的側面を扱った事項として、XP(eXtreme Programming)、CMM(Capability Maturity Model for Software:能力成熟度モデル)が挙げられる。XPは比較的小・中規模なソフトウェア開発に適し、CMMは大規模なソフトウェア開発に向いているといわれている。

 XPは、Kent Beckらによって提唱されているソフトウェア開発プロセス(工程)であり、次のような特徴がある。

・ソフトウェア開発におけるコーディングとテストの工程に重点を置いている

・初期設計よりもRefactoringによる再設計を重視している

・開発現場で簡単に導入できるライトウェイトな方法論である

・XP を実践するための「12のPractice」が示されている

 CMM (能力成熟度モデル)は、スケジュールの管理、生産性の向上、品質の向上を目的として、米国のCarnegie Mellon大学のSEI(Software Engineering Institute:ソフトウェア工学研究所)で開発された。ソフトウェア開発組織の開発能力レベルを評価するモデルである。CMMには、システムに関するSE-CMM(System Engineering CMM)、ソフトウェア取引に関するSA-CMM(Software Acquisition CMM)、人間に関するp-CMM(people-CMM)、製品開発に関するIPD-CMM(Integrated Product Development CMM)が開発されている。

近年のソフトウェア開発においては、人件費の安いインドや中国に外注する傾向にある。インドのソフトウェア開発企業ではCMMのレベル5を取得している企業が数多く存在し、中国においてもCMMを取得するソフトウェア開発企業が増加している。近年のソフトウェア開発の傾向から、企業間の国際分業や国際競争においてCMMは無視できないものになってきている。(角田雅照記)

第2報告

 京都試作ネットは2001年7月に発足した。当初から10社のメンバーで構成されているが、もともとこの10社は、京都府下の機械金属系中小企業経営者が集まって結成する業界団体のメンバーだった。その中で気の合う者が集まり勉強会を始めたのがきっかけだった。

 勉強会の狙いは「下請けからの自立」。そのために理論的に経営学を学ぼうとドラッカーの「現代の経営」などを輪読しながら新しい事業展開の道を模索していた。

 勉強会は、最初は雑談だったが、その中で貴重な話しが出てきた。つまり各メンバーは強みを出して事業を進めていこうということだった。また1社の強みだけでは問題があり、いくつかのメンバーの強みを組み合わせると魅力ある事業ができるという考えに達した。

顧客にとって連携を組むとその結果は魅力になる。しかも魅力といっても何かに的を絞ったほうがよい。その結果「試作」ということに的を絞った。たとえば、中国が世界の工場なら、日本は開発センターになれないか。つまり、モノづくり屋として日本で開発してその後世界へ移転していく。賃金は日本のほうが高い。それに見合った仕事をしなければならない。日本が世界の開発センターとなれば「試作」が重要になってくる。これが京都試作ネットの生まれである。

 では、何のために試作をやるのか。まず、ビジョンとして京都を一大試作の集積にする。京都には、京セラ、オムロン、ローム、村田など電子部品h-tech企業があり、製造業が頑張っている。また、島津製作所は創業後100年の歴史がある。この京都でモノづくりをやっていきたい、次の世代に引き継ぎ、彼らが夢を持ってモノづくりをやれるようにしたい。そんな思いから京都に一大集積をつくるということである。

 理念としては、@お客にとっての理念、つまりそれぞれの専門分野の人たちが集まって、連携により今までになかった新しい価値を提携しよう。A内向な理念として、仕事をする人たちが、仕事をすることでヒトとして成長してほしいという考え方をあげることができる。

 試作ネットを開始して2年半。今までに500件の引き合い、100件の成立。最終的には京都の多くの企業と連携を深めていきたい。その方法として、プラットフォーム(インターネットのサイトをプラットフォームと考える)に他の企業が入り込んでもらいいろいろな情報を入れてもらう。プラットフォームを作ることで顧客の要求を京都に広げていきたい。

 日本の中で足の引っ張り合いはなくする。試作ネットはスピードで競争する。価格は高くてもよい。価格を要求する人は他所へ行ってもらう。競走は同じもので競争するのではなく異なるもので競争する。

 構想実現に向けてクリアしなければならないハードルはあるが、京都試作ネットのプラットフォーム作りは着実に進んでいる。このシステムを通じて、モノづくり復権の担い手となる中小企業をサポートしていきたい。(鈴木三朗記)

コメント

 第1報告は当初予定していた大阪芸術大学短期大学部の武村泰宏氏の代理として奈良先端科学技術大学院大学博士課程の角田雅照氏に報告していただいた。最近のソフトウエアの開発状況をわかりやすく説明していただき新しい情報を得ることができた。また、国際化研究部会の関心事である開発と国際化の関係について、インド、中国への外注が行われているとの情報を得られた。<br>
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 第2の報告は、当研究部会の研究テーマのひとつである産業クラスターについての報告であった。「試作」に特化した相談・受注の窓口をネットで運営し、京都を一大試作の集積地にしようという考えは、低迷する地域経済の活性化に大いに貢献するものと思われる。


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