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国際化研究部会 第22回例会
概要とコメント





とき・ところ

日時: 平成15年6月21日(土)6:00〜8:00p.m.
場所: 大阪産業創造館 6階会議室 A

第1報告 テーマ:「中国市場を指向した共生型製造モデル」


報告者:北 真収氏
         野村総合研究所上級コンサルタント
         東工大大学院生

第2報告 テーマ:「海外進出で成功する要件」


報告者:中矢一虎氏
         国際経営法務コンサルタンと事務所代表
         大阪市立大学 商学部 講師
     

概要
第1報告

(1)日本企業は、これまで、プラント輸出、技術供与、合弁生産などを通して、中国へ技術移転・生産移転を行なってきた。その結果、中国に量産型の操作技術が形成された。ただし、国際ライセンス契約の内容と大きく乖離した中国の技術導入契約管理条例が、技術移転に対して、影響を与えてきたことも事実である。

(2)組み立て型産業に代表される中国地場製造業の特徴は、一貫生産の意識が弱いローエンド組み合わせ型のアーキテクチャ、操作技術に依拠した少種大量生産方式、柔軟性に欠ける機械的作業組織などにある。また、フルセット型から企業間分業へとシフトしてきたが、同一部品の複数サプライヤへの発注、市場取引など比較的開放的なメーカー/サプライヤの関係が選好されている。

(3)市場戦略とは現地環境への適応パターンを考えることであるが、日本企業が、中国市場という環境に適合するための方法の1つに企業間連携がある。これは、同等の力を持つ企業同士が、同一の市場で競合している状況での提携、相互の目的を達成するために互いにリスクを分担し合う提携であり、従来の提携とは異なる。既に、日中企業間で生産を中心に連携の試行錯誤が行なわれようとしている。相補性の観点から見ると、擦り合わせ型アーキテクチャの日本企業とローエンド組み合わせ型アーキテクチャの中国企業による共生型製造モデルへと発展する可能性はある。

(4)共生型のモデルに発展する条件とでもいうべき、企業間連携に求められるマネジメントは、文化や商慣行、暗黙知化しているルールに企業間でギャップがあることを十分認識し、共有し合える部分では相互にコミットすることである。とりわけ、技術情報などのインタンジブルについては、企業間のインターフェースをルール化することは難しいが、互いの情報開示によって得られる受益性がバランスされなければならない。日本企業にとっては、日中間の技術力の差を念頭に、開示すべき技術の選別とその優先順位付けに留意する必要がある(北 真収記)。 

第2報告

報告は海外進出を成功に導くための進出前の準備的要件と進出後の現地経営に関わる要件に分けて述べられた。

  1. 海外事業進出前の準備
     まず経営トップの海外事業に対する姿勢を明確にすること。危ないケースの一つとして目的が不明確な経営者がいる。例えば、コスト低減のための安価な労働力が重要なのか外国の垂直分業的生産工程が重要なのかを明確にして上での進出でなければならない。
     第2に、FSでの情報を無料で仕入れる場合があるが、思い込みを排除した客観的な有料調査も必要であることを知ってほしい。
     第3に、海外派遣社員の適正の問題。 重要な適性として、(1)日本国内の業務をよく理解している人。いわゆる「仕事のできる人」、(2)食物に対する多少の好き嫌いはあっても胃の丈夫な人を挙げたい。(1)の適性があれば、外国語のハードルも時間はかかってもクリアできる。
  2. 海外進出後の現地経営
    (1) 中国進出に関して。
     新聞、TVで中国の非常に活発な面がビビッドに見える、しかし、どこかで社会主義体制が垣間見える。日本人の中には中国は文化の面からすばらしい国だと考える人もいるが、行政は日本のようには動かない。拝金主義、コネ社会が実態である。中国は一つの市とか省が別々の国だと考えなければならない。駐在員は中国語を話せることが重要。
    (2)タイ進出に関して。
     タイは、マイペンライの国である。暑い中で仕事をしていく中で、これが習慣になっている。進出に関しては、その国の文化をよい意味でも悪い意味で知っておく必要がある。
    (3)中近東進出に関して。
     中近東では、彼らは非常に大きな話をするが、それは彼らのビジネス習慣・スタイルだということを認識すべきで、最初から大きなことを期待しないほうがよい。また宗教と食物にも注意すべきだ。
  3. 現地の経営
     現地経営に当たって、派遣社員を信頼して使ってほしい(米倉穣記)。

コメント

 第1報告は長期駐在した中国での経験を理論的にまとめ上げた優れた報告であった。従来の事実だけの報告だけではなく理論化している点で評価できる。

 第2の報告は、そのテーマからもわかるように、海外進出で成功するための要件についてポイントをついた報告であった。

 ただし、両報告にも言えることであるが、国際化研究部会はVB,SMEの国際化に関する研究が主体であり、そろそろそのものずばりの研究も期待したいところである(米倉穣記)。



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