関西ベンチャー学会>国際化研究部会>第16回概要
国際化研究部会 第16回例会
概要とコメント
とき・ところ
日時: 平成14年9月21日(土) 午後3:00〜5:00
場所: 大阪産業創造館 6階会議室 A
テーマ「香港・華南および上海を中心とした中国物流について」
講師:賀来紀久男氏
山九株式会社 執行役員 国際事業本部 副本部長(アジア担当・上海駐在)
概要
中国の経済発展に視点を向けるとき、上海をはじめとする華東地域と香港・深せんを中心とする華南地域が高度成長地域として注目度が増している。山九(株)の賀来紀久男氏の報告はこれら地域の発展の証左を対外貿易・物流面から捉えようとするものであった。報告は第1に、「香港および華南地域での物流の現状」、第2に「上海および後背地の物流の現状」、第3に「今後の世界の海運業界と中国港湾」の3点に要約できる。
第1について。この香港・華南地域の物流の伸展は目覚しいものがある。輸出入業務についてのそれぞれの役割は非常に機能的にかつ整然と行われている。レジュメにはその実態が詳細に記されている。
第2について。華南地域同様華東地域は「世界の工場」といわれるだけあって、日本その他の外国企業の進出が多くハイテク、家電、機械、衣料等さまざまな産業の工場がひしめいている。その理由として、上海とその周辺の昆山、蘇州、無錫、杭州等の都市がそれぞれ経済技術開発区、工業区、輸出加工区、保税区等の投資環境を整備して、外資系企業の投資を促進している。
これらの中で、「輸出加工区」について詳細な説明があった。ここは「保税区」と同じ条件で特別な優遇政策を採られている。このような「加工区」は上海では浦東金橋エリア、松江エリア、昆山市、蘇州市に設置されている。「輸出加工区」に設置できる企業は加工貿易を専門とする製造業と倉庫、運輸業だけで、加工区内の企業は自己所有の外貨の国外送金および入金は自由で外貨管理局の許可は不要である。
「輸出加工区」と国外との間で、出入りする貨物は届出制のみで管理。加工区に進出する企業の工場建屋、倉庫等の建設用の機械設備及び生産に必要な機械・設備・金型・メンテナンス用品等は免税。原則として加工区で生産された製品は全量輸出になっている。
この地域での物流は、さまざまな形態がある。まず、進出企業(メーカー、商社、物流企業)はすべて税関のコンピュータ・ネットに組み込まれて管理されている。輸出入業務等はネット上のEDIシステムで行われることになっているため、非常に合理化されている。「輸出加工区」等は税関の24時間業務体制が整っている。また、昆山、蘇州、無錫、杭州等の地方向け貨物については2001年春頃から「直通点通関制度」が実施され、通関業務の改善合理化がなされている。
上海港の現状と将来構想として、上海は第10次5か年計画の中、三大ポートの建設を唱えており、それらは@国際コンテナー深水中枢ポート(物の流れ)、Aアジア太平洋地域のハブエアポート(ヒトの流れ)、B情報のポートとしての確立(情報の流れ)である。
第3について。世界の海運業界の有数な船社が蜂蜜に群がる如く、中国に吸い寄せられてきている。コンテナ船の大型化、中国港湾への直接寄港が今や脚光を浴びている。その条件を満たすために、主要港湾の整備、すなわち深水港(−12M以上)や、スーパガンドリークレーンの整備したコンテナーターミナルの建設を競っている。
世界の海運業界は生き残りをかけての競争で熾烈さを増しているが、この対応策として主要航路において船社同士のアライアンスいわゆるコンソーシアムを組む動きが見られる。一方、単独船社が他社を買収し巨大化していることも事実である。
最後に、賀来氏は、香港、深?、上海の現状と将来構想を説明しながら、神戸港をはじめとした日本のコンテナー港湾の世界における地位低下に心を痛めておられるが、これを挽回するための「スーパー中枢港湾」構想に大いなる期待を寄せているとのことだった。
「コメント」
中国経済を考える場合、一般に製造業に視点を置きがちであるが、今回は珠江デルタ地域、長江デルタ地域の産業集積を物流企業のスペクトラムから見た報告で大変意義深いものであった。例えば、輸出入カーゴの流れ、シーカーゴ、エアカーゴ、大型コンテナー、港湾設備、通関業務などについての非常に具体的な報告で20名の参加者も満足されたのではなかろうか(米倉穣記)。
もどる
トップ・ページ
部会の案内
ページ・トップ