インキュベーション研究部会
第1回研究会模様
研究会概要
報告要旨
1.ビジネス・インキュベーションとは?
2.インキュベータの種類と形態
3.なんのためのビジネス・インキュベータか?
4.日本のビジネス・インキュベーション
5.京都リサーチパーク
6.アメリカのビジネス・インキュベーション
研究部会の様子
参加者の感想
○定藤繁樹氏 ○福竹康志氏 ○後藤英夫氏 ○津田和義氏
<第1回インキュベーション研究部会>
日時:3月22日 18時から20時30分まで
場所:大阪産業創造館 5階研究室C
司会:明石芳彦氏(大阪市立大学経済研究所教授)
報告:定藤繁樹氏(京都リサーチパーク(株)ベンチャーインキュベーションPJ)
報告内容:「ビジネス・インキュベーション事業の現状と課題」
報告要旨
「ビジネス・インキュベーション事業の現状と課題」
京都リサーチパーク(株)
ベンチャー・インキュベーションPJ部長
定藤(さだとう)繁樹
1.ビジネス・インキュベーションとは?
・言葉の意味:孵化・保育・培養
創業期にあるベンチャー企業の育成を担う施設・機関
資金力やビジネス経験・ノウハウ・ネットワークに乏しい創業期ベンチャー企業を支援
―事業スペース/研究開発・製品開発に必要なスペース賃貸(ハード)
―スペース・マネジメント
―経営ノウハウ、ビジネススキルに関する支援(ソフト)
・歴史・沿革:(日本新事業支援機関協議会・星野研究員)
1959 Batavia Industrial Center(アメリカ・ナイアガラ近く・農機具会社
建物)
1977 British Steel Clyde Yard (英国・グラスゴー・民間製鉄会社)-->閉鎖工場再利用-->(大学研究成果)-->イノベーション・センター
1979 Fulton Carroll Center(アメリア・シカゴ)-->ジョブ・クリエーション-->近隣・地域開発開発
米国では1980年台に設立ラッシュ(経済停滞・スモールビジネスへの関心高まる
・デービッド・バーチ(MIT教授1980企業規模と雇用)-->ハイテク産業(IT/バイオ--)
<米国> 800ヶ所 (国連ESCAP会議)
第1世代 1980年代 オフィス貸
第2世代 1990年代 カウンセリング・スキル向上・ネットワーキング
第3世代(?) 1999年〜 IT・ニューエコノミー型(IT革命と連動)
Plug-in設備・投資育成・IPO
・基本要件(機能:米国の伝統的なBIモデル)
@低廉でフレキシブルなスペース提供
・有休工場・倉庫・老朽ビルの利用
ex.コンシジェンクティブ・ポインツ(LA)、コーネル大学、シリコンアレー(NY)
・建設費、改造資金などを政府補助金・低利融資
・NPOとしての運営(行政からの家賃補助など)
A共有スペース・サービス
・打合場所、会議室、ファックス・コピーなど
・共有のセクレタリー(電話応対)、共同レセプション
・コンピュータサービス(高速回線)、共同保険、健康診断
Bビジネス・マネジメント・サービス
・経営や財務コンサルティング、会計代行、技術カウンセリング
Cテナント間の交流(シナジー効果)
・大学研究者、専門家(弁護士・会計士・弁護士など)、VC、起業家同士
D入居期間の設定
・期 間 2〜5年
・卒業生をどのように多く輩出するか?ひ
・入居審査と目標管理
2.インキュベータの種類と形態
(1)提供サービス スペース提供/ビジネスサポート提供
(2)運営主体 日 本 米 国
行政主体(行政+民間) ソフトジャパン/KSP IBI(サンノゼ)
大学・研究所 龍谷大学REC IC2(オースティン)/コーネル大学
民間主体 KRP/サンブリッジ コンジャンクテイブポインツ(LA)、アイデアラボ
(3)立地場所(日本立地センター)
R&Dタイプ(研究開発) ex.かずさアカデミア
ル−ラルタイプ ex.花巻企業化支援センター
民間収益タイプ ex. KRP
(3)立地場所(日本立地センター)
R&Dタイプ(研究開発) ex.かずさアカデミア
ル−ラルタイプ ex.花巻企業化支援センター
民間収益タイプ ex. KRP
3.なんのためのビジネス・インキュベータか?
地方自治体
地域開発団体
大学・研究機関
民間企業
地域経済活性(雇用・税収増加/市街地再開発)
研究開発、ハイテクビジネス創出、技術移転
投資収益(不動産・エクィティー)
出典:日本開発銀行 調査第84号 一部修正
*アメリカでは大学自体が民間企業的経営感覚
Ex.スタンフォード大学とインダストリアルパーク
例:UCSC(University City Science Center):インキュベーション機能をもつ複合型サイエンス・センター
・ペンシルバニア州フィラデルフィア/1963年設立/都心型
(ペンシルバニア大学近く・危険な地帯・マイノリティー・都市型立地再開発)
28機関によるNPO(大学:ペンシルバニア大学・ドレクセル大学・テンプル大学・デラウェア州立大学、など)
(行政:ペンシルバニア市など)
・大学からのハイテク企業+地域活性化(コンピュータスクール:マイノリティー対応など)+POT
*POT: Port of Technology 州政府 *Ben Franklinベンチャー投資財団
4.日本のビジネス・インキュベーション
<産業立地政策からの位置づけ:ハード主体:サイエンスパーク>
・新産法(1962:新産業都市建設促進法)/工特法(1964:工業整備特別地域整備促
進法)
地方産業都市・巨大コンビナート建設-->71:ニクソンシュック、73:オイルショック (高度成長・重厚長大)
・テクノポリス法(1983:高度技術工業集積地域開発促進法)
地方の科学技術振興・地域産業振興 ×1999新創法
・民活法(1986:民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法)
リサーチコア:地域共同研究施設、技術者研修施設・展示施設・ベンチャー企業振興施設など
・頭脳立地法(1988:地域産業の高度化に寄与する特定事業の集積の促進に関する法律
知識集約型産業の地方への移動 研究、デザイン、ソフトウェアなど16業種
地域振興整備公団による中核施設整備・第3セクター出資など ×1999新創法
・新創法(1999:新事業創出促進法)
新事業創出プラットフォーム事業
インキュベータ「新事業支援施設」
5.京都リサーチパーク
別途資料
6.アメリカのビジネス・インキュベーション
ベンチャー企業を育成する条件(今井賢一監修(1998)『ベンチャーズ・インフラ』NTT出版)
(1)大学との連携 ハイテク産業創出
@大学教授・研究者・ポスドクによる起業
Aメンター・エンジェルの役割(大学教授)
BTLO(Technology Licensing Office)との連携CMBA学生との協力(SBDC中小企業の経営分析・アドバイス)
(2)ネットワーク・インフラ(インキュベーション・マネジャーと組織の力量)
・ベンチャーキャピタル
・コンサルタント/CPA/法律家/ヘッドハンター
(3)地域との結びつき
・地域企業からの支援・ボランティアの派遣(税制・フィランソロフィー)
・行政によるベンチャー企業・インキュベーション支援
(4)役割分担の明確化
・ハイテクシーズ=大学・研究所
・創業期ベンチャー支援=インキュベータ(公的な性格)
・株式公開に向けた強力な支援=ベンチャー・キャピタル
(5)インキュベーション・ノウハウ(人材)
・プロのインキュベーション・マネジャー/SCORE(退職ビジネスマン)
*日本のビジネス・インキュベーションの課題
・ハード中心 (ソフトの不足)
・ベンチャーインフラの未発達
・起業家の能力・質の問題
・インキュベーションマネジャーの問題(第3セクターとの関係)
・インキュベーションの国際化/民間インキュベーションの台頭
以 上
研究部会の様子
さる3月22日、大阪産業創造館で関西ベンチャー学会初の研究部会が行われた。第1回インキュベーション部会では、定藤繁樹氏(京都リサーチパーク(株)ベンチャーインキュベーションPJ)がKRPの現状を報告した。KRPは民間インキュベータであり、「利益の出ることだけをする」。さまざまな交流からベンチャー企業は生まれ発展するとされ、「都心型リサーチパーク」が交流の場として魅力的であると報告。ベンチャー起業家向けに貸しブースを提供しており、入居予約がいっぱいである理由について説明された。参加者からはKRPの業務の具体的内容について質問が多く出され、定藤氏はKRPと行政主体のインキベータとを比較することで詳しく解説された。また、KRPにはものづくりの企業が多く入居していることを強調された。
本部会世話人である明石芳彦氏(大阪市立大学経済研究所教授)は、「今回の部会がインキュベーションに関する実状についての理解を深める第一歩としてふさわしいものだった。」とまとめの挨拶をされた。今回は20名ほどが出席。次回インキュベーション部会は5月に開催予定。
参加者の感想
○定藤繁樹氏(京都リサーチパーク(株)ベンチャーインキュベーションPJ部長)
実際の現場で起こっていることを正確に伝えられる研究部会をつくっていければいいと考える。
○福竹康志氏(KRPのテナントの方)
参加している方々の考え方が興味深い。こうした研究部会は貴重な場であり、インキュベーション運営の具体的な方法論を話できるのは面白い。
○後藤英夫氏(有限会社ブリッジ・ジャパン 代表取締役)
参加して良かった。現在、大阪産業創造館14階で起業中。自分達が起業することの学問的な面を知った。関西ベンチャー学会には理論と現実の融合を期待する。
○津田和義氏(監査法人トーマツ 公認会計士)
若い人の参加が思っていたよりずいぶん少なかった。全体の人数もずいぶんすくなっかた。今の4、5倍あっても良い。各人それぞれの持っているインキュベーションのイメージがちょっとずつ違っているので、テーマを絞ると議論しやすくなると思う。実務的な話や事例を話題にすればもっとおもしろいものになる。オフ会などの形を取って、バーベキューをやりながら議論してみたい。
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