対談のご報告 (文化資産部会幹事/神戸常磐短期大学・日野 孝雄)
【7月3日(土)】 「井上ひさしと創造都市ボローニャを語る夕べ」

                       

VS
 
作家 井上ひさし 氏
 
大阪市立大学大学院創造都市研究科都市
経済政策分野
佐々木雅幸 教授 

 

☆当日概要☆

   <対 談> 作家 井上ひさし氏 VS 大阪市立大学大学院創造都市研究科都市経済政策分野
                                                佐々木雅幸 教授 
   
 NHKハイビジョン・スペシャル「井上ひさしのボローニャ日記」

  (04年3月8日放送)の出演者でも9ある井上ひさしさん、『創造都市への挑戦』(岩波書店)で
  「創造都市・ボローニャへの招待」 を書いた佐々木雅幸さんが、ボローニャの魅力・見所を語り尽くします。
   
<創造都市とは>  
都市再生の概念で(世界都市論とは対極にある)、地域に根ざす文化や技術、人材を活用して知識創造を基盤を形成し、都市や地域経済の再生をめざす考え方です。
☆当日実施要項☆          

日 時 平成16年 7月 3日(土)
場 所 大阪産業創造館3F マーケットプラザ
大阪市中央区本町1-4-5 <地図はコチラ

費 用

参加者

¥500 (資料代)

180名

主 催 「井上ひさしと創造都市ボローニャを語る会」
(上記の構成団体)

関西ベンチャー学会文化資産研究部会
大阪市立大学大学院創造都市研究科都市経済政策分野
NPO法人 Will国際文化交流研究所

       

        創造都市・ボローニアともう一つのビジネスモデル

 〜「井上ひさしと創造都市ボローニャを語る夕べ」 ご報告に代えて〜


                  文化資産研究部会幹事/神戸常磐短期大学 日野孝雄

 さる7月3日(土)午後6時から作家の井上ひさし氏と大阪市立大学大学院創造都市研究科教授佐々木雅幸氏をお招きして「創造都市・ボローニアを語る夕べ」を開催しましたところ、170名近くの参加者を得て、盛況のうちに終わりました。

 「創造都市論」はこれまでの「世界都市論」に代わる都市・経済再生理論として欧米で注目され、地域に根ざした文化、技術(技能)、人材(職人)が紡ぎあいながら快適な環境と優れた製品を作り出す都市のことで、ボローニア、バルセロナなどがモデルとして脚光を浴びています。また最近わが国でも各地で芸術文化創造都市、生活文化ファッション創造都市などの名称で取り上げられつつあります。

 理論的系譜はジョン・ラスキン(生命経済学)、ルイス・マンフォード(都市の文化)、ジェーン・ジェイコブス(都市の多様性)、野中郁次郎(知識創造企業論)などで、知識経済、都市文化を融合させ新しい文化経済・都市を生み出す必要性を提案しています。最近は今井賢一(スタンフォード大学日本センター理事)が「経済文化で世界けん引」(日経新聞04・3・17)で「スーパークリエイティブ・コア」という概念で、知識創造産業の育成にはクリエイティブな風土が欠かせないと述べ、「新・京都モデル」を発表している。

私の考えでは、京都の発展モデルは三つあり、

 @地域の文化に今なお深く根ざした文化産業(神社仏閣の宗教、それらから誕生した茶道や華道、お菓子、祇園など)

 Aこれらの文化産業に材料を提供する清水焼、製茶産業、印刷、織物

 B清水焼などの地域技術に近代科学を活用したセラミック、仏壇職人であった島津源三が舎密局(明治政府が作った科学技術導入の研究所、初め大阪に建設されたが、商人の町・大阪にはいらない排斥され京都に移転、京都大学誕生の基礎)のお抱え科学者から知識を受け継ぎ設立した島津製作所、京都大学から生まれた堀場製作所、多くの学生・大学院生・修行僧の存在など。京都の元気は自らの資源をしっかり認識し、かつ京都駅を見ても分かるようにスーパークリエイティブを大切にする創造都市の発展モデルを地で行っているところにある。地域文化と創造的環境から知識創造企業が誕生している。

 私は創造都市・ボローニアの歴史・文化、地域に根ざした技術、人への思いやりを持った産業育成を「もう一つのビジネスモデル・社会開発型モデル」と名づけたい。わが国では利潤追求型のビジネスモデルが多いが、こうした「もう一つのビジネスモデル」は歴史が古く、文化と職人的技術を有する関西にはふさわしいモデルではないかと考えている。

 実は米国ではビルゲイツが自分の利益のほとんどを財団に寄贈し、地球環境問題に取り組んでいることや、シリコンバレーのスタンフォード大学やインテル、HP、州政府などが協同で「ジョンイントベンチャー:シリコンバレーネットワーク」(NPO法人)を組織し、教育や社会問題、地域の経済発展モデルに取り組んでいることはあまり知られていない。一方で莫大な利益を得ながらもう一方では都市や社会開発に取り組んでいる、このバランスが大事である。

 わが国では「利益を上げ税金を払うことが社会貢献、それ以外のことはしない」といってはばからない企業経営者が多い中、創造都市を構築するのは容易ではないが、関西の活性化のためには、多くの学者、知識人を擁する関西ベンチャー学会が取り組むべき課題である。

   

 

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