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 第15回 レポート 「医療・介護事業とコミュニティ」
 関西ベンチャー学会 文化資産研究部会 活動報告・予告

日 時:平成17年6月22日(水)19時00分〜21時00分

場 所:大阪産業創造館6階会議室C

テーマ:「医療・介護事業とコミュニティ」

講 師:藍木 秀 (株)ドーチェ代表取締役
 
レポート

医療・介護事業とコミュニティ

           株式会社ドーチェ、株式会社メディケア
                 代表取締役社長  藍木秀
                                 
6月22日、文化資産研究部会にて、機会をいただき、弊社創立以来
の道のりと今後に向けての事業展開案を説明することとなりました。
今回は、特に医療・介護に関連する事業部門に的を絞って説明させて
いただきました。

●創業と沿革
活動経緯
1992年9月、株式会社ドーチェ(今後略してドーチェという)は、
地域と市民に生活全般にわたっての新しいライフスタイルを提案して
いくことをコンセプトに設立されました。
『夢・彩・遊び』をテーマに、講演会、旅行企画、パーティ等の
イベント企画を行ないながら、人的なネットワーク作りを行い、
人々が集う中から見つけ出されるであろう新しい時代
(当時既に大きな社会構造の変化が予測されていた)の
ビジネス・シーズを探していました。

しかし、1995年1月17日阪神淡路大震災発生により、ビジネスモデルの
大きな変更を余儀なくされました。
被災地の真ん中に拠点をおく身として、今まず何を考えていくべきか?
と何度も自問しました。
その結果、生きることの根源に関わること、
すなわち『健康』と『安心』の分野で事業展開することを決意しました。

当時既に厚生省は、『予防医学』の推進を奨励し始めており、
健康(予防医学の推奨)を媒体にした人間関係作りは、
信頼関係の強固なネットワーク作りに繋がると考えたのです。

以来、予防医学の啓蒙や健康情報の提供、健康食品販売を通して、
「健康と信頼のネットワークづくり」を推進し、
『健康スクール』と銘打っていろいろな会場で基本的な健康や病気
についての勉強会と健康相談を重ねていきました。

こうした活動の過程で、多くの人が健康に対して不安を抱き、
また介護についての悩んでいることが分かってきました。

医療や健康、介護に対してのニーズを実感するに従って、
それらの分野へ働きかけるコミットメントが生まれてきました。
1998年夏頃から、医療機関・介護施設の両方を経営する医師の友人から、
医療・福祉・介護についての知識や実状を学ぶことができました。

その後1999年2月に開設したデイケア診療所をサポートする目的で、
MS法人として有限会社阪神メディケア(現在、株式会社メディケア、
今後略してメディケアという)を起業しました。
(注:メディケアはドーチェの子会社ではありません) 
2000年4月、介護保険制度が始まると同時に介護保険事業に参入し、
その後事業所を増やしています。

一方、ドーチェの活動に戻って述べると、2000年12月に高齢者向け
安心住宅第一号『チェリッシュホーム』を開設しています。
これは、メディケアの方で経営しているデイサービス事業所の
利用者の中に、デイサービスから帰宅後食生活もままならない利用者
がおられ、彼らに対して24時間何らかの形でケアできる方法はないか
と検討を重ねた結果実現させたものです。

少人数定員で普通の家庭生活が営めることをコンセプトにする
高齢者向け安心住宅は現在7軒 になっています。

●今のビジネスモデルに至る経緯
ドーチェサイドでは、老人医療や介護の研究が進み、
一方のメディケアサイドでは、現実の介護事業でのノウハウ蓄積が
なされていきました。

その結果、双方ともが安心できる見守りや介護が24時間提供できる
方法を求めるようになっていました。

どうすれば利用者にとって自然で生活し易くそれでいて安心と経済性が
担保できるか?

そこで、ドーチェが住宅や居住環境というハードを受け持ち、
メディケアが介護サービスというソフトを提供するという
役割分担の形を考え出しました。

ただ、このハードとソフトだけでは十分ではありません。
ある意味で、最も重要になるのが医療(ホームドクター的な医療)です。

結果として、高齢者向きの住宅と介護サービスに医療を連携させる
「三位一体型ビジネスモデル」を企画し、実行に向けて努力しました。

この「三位一体型ビジネスモデル」は、最初、芦屋・西宮地区で
構築しましたが、最近では、その具現化した型を尼崎のモデルに
見ることができます。

このモデルは、今年の4月より運営を開始したものです。
尼崎で数十年間に亘り、地域医療に貢献されてきた松島整形外科医院
(松島院長)が、ご長男が医師として後を継ぐ為戻って来られたのを
契機に、使用していなかった2階部分と3階部分を弊社に使ってもらえ
ないかとお申し出をいただいたことから始まりました。

お申し出を受け、検討した結果、2階部分をドーチェが借り受けて
高齢者向け安心住宅を開業し、3階部分をメディケアが借り受けて
デイサービスをはじめとする介護事業所として使うことにしました。

それまでの例と同じ様に、全面的な改装費用は大家である松島先生側
が負担し、弊社は長期の賃貸借契約を結ばせていただきました。

結果として、1階に立派なリハビリ施設を備えた診療所、
2階に高齢者向け住宅、
3階にデイサービス及び居宅介護支援事業所・訪問介護事業所という
具合に、三位一体型のビジネスモデルがビジュアルになった例です。

また、見た目だけでなく、実際においても、医療・介護・住宅間の
相乗効果は大変大きく、利用者からも評価していただいています。

今後も医師及び医療機関とのアライアンスの強化発展を重要テーマ
としていきます。

●現在抱える課題
弊社のみならず医療・介護業界は、今検討されている医療制度、
介護保険制度の改正に神経を尖らせています。
特に介護保険制度については、発足後紆余曲折を繰り返しており、
事業にとって制度自体が大きなリスク要因になっているのは事実です。

また、弊社グループのシステムでは、入居者の生活全般に関わる
関係上、ここまでが業務で、それを越えると業務外といった
サービス範囲の規定や割り切りが付けにくい問題があります。

特に現場を預かるスタッフにとっては割り切りにくいケースが
多々あります。

その他、対象が高齢者であるために、体調の変動でサービスが
予定通りに提供できない等、不確定要因をどう読み込めるかが
経営管理上大きな課題です。

いずれにしても利用者・入居者の身体状態やニーズが多岐に
亘る中で、ご本人が認識していない(できない)ニーズまでもに
対応できる高度なシステム作りと管理能力が問われています。

●今後の事業展開
医療・介護(ヘルスケア・ヒューマンケア)分野の環境と今後の推移

我が国は、来年前半で日本は人口のピークを迎え、
その後は長期の減少局面に入ります。

現在、財政難と高齢化による医療費増大に対処するため
厚労省は抜本的な医療政策の改革を検討しています。

介護保険制度も、独立した制度のように見えますが、
実は、大局的に医療制度の中にしっかり位置付けられており、
今後医療制度改革に併せて、適宜改革されていくものと予想されます。

こうした大きな制度改革の向かう方向として、
医療・介護分野全体の規制緩和、構造改革であり、専門家の中では
すでに織り込み済みです。

結果として、今後外資も含めた資本主義の洗礼を受ける可能性は
高いと思われます。

厚労省としては、国民にとって絶対に必要であると定義される
医療(急性期医療)についてはあくまでも皆保険制度を守り抜く
べきであるが、半面、かかりつけ医レベルの医療や療養型・慢性
疾患対応・ケア等の領域は、規制を緩め、患者や利用者がそれぞれ
の生活レベルに即したサービスを自己負担で受けることを必ずしも
否定しない方向です。

本来、医療・介護のコア領域は、公共の福利であり、
非営利の原則が貫かれるべきであるから事業として大きな利潤を
稼ぐことは難しい領域です。

しかしながら、上記の方向性を考えると、その少し外郭(周辺)
に位置する医療・介護関連事業分野は、市場規模が大変大きく、
また、規制行政で開発・開拓が立ち遅れてきた分拡大する余地が
あります。

因みに、現在皆保険制度をとっている日本の年間医療費は
約31兆円であるのに対して、皆保険制度がなく自由診療中心の
アメリカでは210兆円にも及びます。

日本でも今後、規制緩和が進み自由診療、混合診療あるいは
アメニティ分野のサービス開発が進めば、確実に医療事業市場は
拡大するものと予測されます。

プライマリーケア領域での事業展開の可能性
そうなった場合を想定すると、今まで医療機関以外が参入
できなかった(市場が存在しなかった領域も含めて)市場が急速に
開発されていくと考えられます。

プライマリーケアの領域が将来的には大きな市場となり、
弊社も積極的に展開を考えるべき事業領域です。

プライマリーケアの領域は、一般人(医療専門家でない人)の
予防医学(健康増進)から第一次予防医療、第二次予防医療を経て
本格的な医療、高度先進医療と横軸に取っていくならば、
健康増進から第一次予防医療を越え第二次予防医療の半ばまで位
に当たります。

弊社が今後プライマリーケア分野に展開する場合、
その前提として現在まで築いてきた医療・介護のコアに関わる
企業体制、業務内容をより充実させ強固にする必要に迫られます。

あくまでコア事業がベースであり、またコア事業とのシナジーが
求められます。

プライマリーケアの事業内容例をごく大まかに述べますと、
○ 医療や介護の情報提供やコンサルタント
○ 患者や介護を受ける高齢者に対しての住環境や生活の
  利便を図るサービス
○ コア領域を超える部分や利用者のニーズに応える
  追加的・個別的サービス

などがあります。

●医療・介護事業展開とコミュニティ
医療・介護事業(関連事業も含め)は、他の事業以上に
公に奉仕すること、地域社会を潤滑することを意識しなければ
なりません。

個人事業、株式会社であっても『コミュニティ・ビジネス』
としての一面を忘れてはいけないと思います。
そうであるならば、私は自分の会社が将来公の器になることを
望みます。

その為に、経営者として取るべき思考や行動のあり方として
以下の点を心掛けています。

○社会が大きく変革するこの時代にあって、企業が社会に対して
 何が出来るかを考え行動すること。

○人々の必要と事業環境を冷静に研究分析して、
 足場となる新たな基盤を構築すること。

その上でこれからの努力目標として、
次のような方向性を立てています。

1.積極的に情報開示し縁故者や地域の様々な立場の方々の
  支援・協力を得ること。
2.地域住民、ボランティア、専門家(事業所)、 行政等を
  ネットワークする為のシステムを構築すること。
3.公の器として賛同者を募り、経営連携や資本参加を求めること。


会社を創立した当初考えていたことは、
「皆が集えるバーチャルな場を作りたい」
ということでした。

集ってくれる人々が情報も知恵も力も持ち寄って来てくれ、
又交流し合う中で新しいアイディアも生まれると考えたからです。

今、医療・介護の事業に携わるようになり、
コミュニティ・ビジネスの側面を意識するに従って、
当初考えていた概念がここにこそ生かされるべきではないかと
思うようになりました。

最後に、今後は医療・介護制度の担い手が官から民へ
ますます移行していくと考えられます。

コミュニティの支持を得、ボランティアパワーをも活用しながら
運営できる組織形態の開発が一つの可能性を生み出します。



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