○・・・経営の容易さ目立つ
―たくましいベンチャ―は育ってきましたか。
「確かに規制緩和が進み、支援策もかつてないほど充実している。環境は整い、企業数も増えつつある。しかし、全体としては心ときめくベンチャー企業に乏しい。創造業でみる限り、経営力不足というか、担う人材に深みがないように思う。経営の安易さ、無防備さが目につく。事業や取り巻く環境は10年で大きく変わる。それなのにいい場面ばかりを見がちだ。アイディア1つ、弾一発のピストルで勝負に向かっているように見える」
○・・・雇用の移動進まず
―ベンチャーや起業による雇用拡大への期待が一段と高まっています。
「社会全体の問題がある。一朝一夕にうまくはいかない。例えば、1980年〜90年代の米国では、大企業からでた人たちが事業を起こし、それを支援する仕組みがあり、投資家もいた。ベンチャー企業もビジネス発展のために、彼らを積極的に受け入れた」
「日本では依然として、自ら事業を始めることに社会的評価が低い。事業が小さいと金融機関が個人保証を要求し、下手をすれば親せき縁者の財産も危険にさらさなくてはならない。新しい事業は生まれにくい。働く人間にも『寄らば大樹』意識が強く、大企業から中小・ベンチャー企業への移動が進まない」
―来年度予算の重点分野に創業支援などがあります。政策への期待は?
「本気でベンチャー企業を育成したいのなら、小さい国家プロジェクトをたくさん作ればいい。国家プロジェクトというと一件百億円、千億円となるがそうではない。一テーマ一億円でもいい。国を挙げて知恵を絞り、テーマを選び、全国から若い人や若い企業に応募してもらう。規模の大小にかかわらず、国が全面的にバックアップする。こんな仕組みができれば、起業、ベンチャービジネスへの意識はかなり高まる」(編集委員 山形健介)