関西ベンチャー学会

会員論文



THAT'S NB 第14巻第10号 通巻143号 2000年12月1日 p.11

関西ベンチャー学会とNBK

財団法人大阪市都市型産業振興センター
  企画運営課長代理 深堀 謙二

 周知のとおり、ベンチャー支援とともに産学官連携がブーム的様相を呈している。NBKでも、産業政策委員会が関西の主要大学との交流を強められており、時宜にかなった取り組みとして大いに評価できる。私も、1〜2回参加させていただいたが、参加者の熱心さに感動すら覚えている。

 さて、東京に「日本ベンチャー学会」が設立されているが、当地でも来春「関西ベンチャー学会」(以下、「学会」と略)が設立される運びとなっている。この学会は、大阪市大の塩沢教授を中心として設立準備が進められているが、NBKとの関係で気に懸かることがあるので、若干私見を披露したい。

 学会とNBKとは設立の趣旨こそ違え、どうもベクトルが同じ方角を向いているような気がしてならない。すなわち、NBKは企業家の相互研鑚を通じて関西経済の発展をもたらそうとする団体であるが、最近の産業政策委員会の取り組みから明らかなように大学との連携を模索されている。他方、学会の方も学者の比率を下げて、企業家や役人等多彩なメンバー構成により経済社会に役立つ活動を実施しようとしている。どうも、参加メンバーが大きく重複しそうな気がするし、同類の活動を行いそうな予感がする。あたかも、どの異業種交流会に行っても特定の人に出会ったり、似通った事業をされていたりする現象を想起させられるのである。

 もとより、学会は学術的観点からベンチャー研究や政策提言等を行うものであろうが、机上の空論に陥らないためにも、実社会からバイアスをかける必要がある。そのために、実践的な色彩を濃くする努力が欠かせない。そうなると、NBKの活動とも人的側面、事業内容等で近似性が出てくる‥‥。果て、両者の関係はいかに棲み分けしたらよいのだろうか?

 目を東京に転じてみよう。東京には、既にニュービジネス協議会(NBC)と先述した日本ベンチャー学会が併存している。新聞報道によると、NBCでは来春、会員企業と大学との産学連携を仲介するために、「全国産学連携サミット」(仮称)という展示会を開催して、大学教員の技術やアイデアを発掘するとのことである(日本経済新聞・平成12年11月14日)。先日、10年来の知人である同学会の事務局長と話す機会があり私の杞憂を伝えたところ、明確な回答は得られなかったが、若干の不安を抱かれたようである。ただ、役割分担などあまり気に止めず、ベンチャー企業の活性化に向けた取り組みはいくらあってもよいと考えるべきなのかもしれない。

 ところで、私は15年前から「実践経営学会」という学会に加入している。この学会は、学者比率が低く、サムライ資格保有者、企業家、役人の集合体である。しかし、名前ほど実践的とは思えない。どうも、学会と名を冠するものは実践的になれないのかもしれない。

 過日、関西ベンチャー学会の有志による打ち合わせ会合に参加する機会を得たが、塩沢教授が部会活動を活発にしたいと所信表明されていた。ない知恵を絞り、アレコレ思案した結果、一つの解を見つけた。それは、夥しい数に上るベンチャー支援策の使い勝手をよくしたら、ムダな政策を積み重ねる必要がなくなるのではないかということであった。称して、「政策再生部会」(仮称)。例えば、補助金の執行を精算払(事後払)から概算払(前払)に変更したり、TLO(技術移転機関)への助成に弁理士費用を含めるなどの運用改善を図るだけで政策効果が高まると思われる。要するに、利用者側の視点に立って既存政策に若干手を加え、「生きた」政策として蘇らせてはどうかということである。

 こういう活動も、NBKの範疇に属するものかもしれないが、主務官庁に提言するのも気が引けるので、学会という中立的存在で議論するのが穏当と思われる。

 産学官連携によるベンチャー支援が標榜される中で、同学会が新たな1ページを刻まれるよう切望したい。


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