関西ベンチャー学会>メールマガジン>第13号


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■■ 関西ベンチャー学会メールマガジン第13号  
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━発行日平成14年5月9日━━━━

■目  次■
役員からのメッセージ(副会長 吉田和男)
トピックス(大学の知的財産権の帰属問題)
解説(AUTM-2 バイ・ドール法)
資料紹介(大学の共同研究契約モデル)
ベンチャー支援
KAVES Information
研究部会御案内


▲▽役員からのメッセージ▲▽

本命のベンチャーに向けての着実な歩みを

京都大学大学院経済学研究科教授 吉田和男(本学会副会長)

関西ベンチャー学会が発足して1年が経過した。

この学会の特徴はベンチャー・ビジネスの研究者と現実のベンチャーを試みる、あるいは支援する者の両者が構成していることである。その両者の活動が他の学会と異なって非常に近いことがあげられよう。まだ新しい分野なので方法論的に確立しておらず、両者とも手探りというのが現実であろう。外国の文献もさほど難しいわけでなく、現実にベンチャー・ビジネスを志す人にも大きな参考になるものが少なくない。この学会もこの意味で大きく役に立つものと期待される。

ベンチャー・ビジネスの本命と見られるハイテクベンチャー関係の参加が少ない。現在、産学協同の呼びかけが行われ、大学からも1000社のベンチャー・ビジネスを生み出そうというのが政府の方向である。しかしながら、工学部などの現状を見ると、産学の間には大きな溝がある。昔はそれほどではなかったが、今日ではあまりにも大きなギャップがある。大学の研究と企業の要請はかけ離れ、大学の研究が産業に向いていない。もっとも、私の所属する大学の特徴かもしれないが。

筆者の父親は大学に出入りしていたベンチャー・ビジネスの走りであったが、まさに補完的に役割を果たしていた。父親の会社自身、大学紛争の頃から大学と疎遠になる。やはりそのあたりからの問題ではないかと感じている。日本のベンチャー・ビジネスというのはほとんどが流通、飲食、サービスと言った分野であり、本命視されている分野とあまりにもかけ離れている。日本もベンチャーが本物になるにはハイテクベンチャーの分野が発達しなければならないが、まだ先のような気がする。まずは、産学の間での距離を縮める努力が必要となる。

アメリカでは研究費がなくなり企業と共同研究せざるを得なくなったことがベンチャーを生み出した。今、大学発ベンチャーのもっとも盛んなドイツも任期制のために研究者が否が応でもほり出されるためという。日本は、ベンチャーとは言い難い分野でもまずは会社からの離脱を若者が考えるようになることが最初のように思う。従って、どのような形態であれベンチャー・ビジネスが盛んになることが重要で、これに産学での接近が結びつくようになると日本のベンチャー・ビジネスも花開くこととなる。時間はかかるが地道にベンチャー・ビジネスの分野を確立してゆく努力が必要と思う。



▽▲トピックス▽▲

国立大学教官の知的財産権を大学に帰属の方針

4月29日の日経新聞は,文科省は国立大学教官の知的財産権を法人化の2004年までにすべて大学に帰属させる方針と報じた.

国立大学教官の発明に対する権利は原則個人帰属である.これは1977年の学術審議会答申でそうなったのだが,過去数年間の産学連携システムの改訂の議論でその妥当性が問題になった.1998年に大学等技術移転促進法が制定されたが,その過程でも技術移転機関を作るなら大学有にすべきという意見が多かった.しかし,発明に対する権利を変更するというのは手続的に時間を要するし,国立大学には法人格がないので特許権の保有者になれないという難題もあり,権利帰属の問題を先送りにする形で法律を制定し,窮余の策として会社形式や財団法人形式のTLOを誕生させざるを得なかったという歴史がある.

ちなみに,大学等技術移転促進法のモデルとなったアメリカでは大学教員の特許は大学有を原則としている(後述の解説:バイ・ド?ル法参照).その後も特許の帰属は繰り返し議論され,文部科学省の委員会では約2年前に法人化にあわせて大学(組織)有にすべきとの案を固めていたが,この程他省庁とのネゴが終わり,方針発表になったと思われる.

そうなると別の問題が出てくる.それは既に設置されたTLOの多くが個人有の発明を譲渡してもらうことを前提としているので,大学有になることで既設のTLOをどのようにモデルチェンジするかという問題である.新聞等ではTLOが軌道に乗りはじめているということも最近喧伝されており,法人化にあわせてどのように収拾するかが注目される.
(AI@KAVES)


▲▽解説▲▽

AUTM Licensing Survey: FY 2000の紹介(2)バイ・ドール法

(第1回は“トピックス”として掲載したが,今回から“解説”の区分に変更)

冒頭の吉田副会長のメッセージにあるように,期待されているベンチャーの本命はハイテクベンチャーです.そしてハイテクベンチャーの主要な源は大学で,大学技術管理者(TLO職員)がベンチャー創出に大きな役割を果たしています.今回は,大学技術管理者(その多くがAUTMのメンバー)の数を飛躍的に増加させる要因になったバイ・ドール法について紹介します。

1980年に制定されたバイ・ドール法とは,一言でいえばアメリカの大学が連邦政府の研究資金で行った研究の成果としての特許を所有し,運用することを可能にした法律です.この法律が出来るまでは,アメリカの大学で連邦政府の研究資金で行われた研究成果から生まれた特許は国有特許になっていました.しかし,国有特許は国民であれば誰で公平に利用できるので,大学で折角産業の種になる研究成果が生まれても企業には全く利用されませんでした.

何故だったのでしょうか.理由は簡単です.もしA社がある大学で生まれた国有特許を使って時間,エネルギー,知恵をフルに使って製品を開発したとします.そのようにして開発された製品が画期的で商業的に有望だと分かればどのようなことが起こるでしょうか.国有特許を利用しているということになると、自分も同じ特許を使って市場に参入しようという会社が出てくるでしょう.そして後発のB社やC社がA社よりもはるかに少ない努力と開発経費で、改良品を開発して市場に参入,先発のA社の製品を駆逐してしまうことが起こり得ます。そんな訳で,みすみす二番手にしてやられるのを知りながら一番手になって国有特許を利用する会社はなかったのです.大学で生まれる発明を国有特許にしておいてはだめだ.大学に特許権を持たせて運用してもらうことにしよう.

バイさんとドールさんという二人の上院議院が逆転の発想で議員立法したのです。それがベンチャー大国アメリカの誕生のきっかけになり,今では一番成果のあがった法律だと賞賛されています.

少し固い話になりますが,バイ・ドール法の前文に謳われたこの法律の精神を箇条書きしておきます。

@連邦政府支援の研究開発から派生した発明の利用を促進する
A連邦政府支援の研究開発活動に小規模企業が参画することを促進する
B企業と大学を含む非営利機関との共同研究を促進する
C非営利機関と規模の小さい企業による発明が自由競争の下で野心的に利用されることを促進する
Dアメリカ国内の企業と労働力によって発明が商業利用され公共に利用されることを促進する
E国の支援で生まれた発明が政府の要請どおりに利用されるために政府の権利を十分に確保する
F特許管理コストを最小にする
バイ・ドール法の引き起こした具体的な変化について第3回以降逐次紹介します.
(AI@KAVES)


▲▽資料紹介▲▽

大学の共同研究契約モデル学会デスクに資料

大学との共同研究を重視する企業が増えているが、特に国立大学との共同研究契約は必ずしも企業のスタンスに合致するものではなかった。文部科学省は企業ニーズを反映させた新しい契約書モデルを平成14年3月29日に大学や産業界に提示した。主な変更点は次のとおり。研究遂行上知りえた秘密情報等の守秘義務を規定(情報漏洩禁止など)研究成果の公表にあたっての取扱いを規定(企業への事前通知と同意の必要性など)知的所有権の取扱いの明確化(企業の優先実施範囲の強化など)柔軟な対応(研究経費納入、返還、契約解除などへの柔軟性)

資料は大阪産業創造館13Fの関西ベンチャー学会デスクで閲覧可能です.
保管ファイル:#1−72


ベンチャー支援活動紹介

大阪府 起業家育成スクール2002 受講生募集

  開催時期 6月8日から7月27日 土曜日開催
時   間 午前10時〜午後5時 (7・27は午前9時30分〜午後5時30分) 
場   所 マイドームおおさか 5F 産業開発研究所内会議室
申込締切 5月24日(金)必着
*詳しい募集要項・申込みは下記まで
大阪府立産業開発研究所 TEL 06-6947-4367 
E-mail mshien@aid.pref.osaka.jp


▲▽KAVES INFORMATION▲▽

(コメントに関し、意見があれば関西ベンチャー学会までメールでご連絡ください。)

#1-71:「大学発ベンチャー続々」

(毎日4・30)
大阪大学医学部森下竜一助教授のアンジェスMGをトップ記事に,大学発ベンチャーの動向,問題点を解説.全文を関西ベンチャー学会ホーム頁に収載( http://www.kansai-venture.org/)

☆コメント☆:ベンチャー設立が先端技術の事業化に不可欠であることを紹介.

#1-69:経産省が市民ベンチャー支援

(日刊工業4・30)
環境保全,まちづくり,生涯学習など市民活動から生まれたサービスがベンチャー企業に発展する市民ベンチャー事業を支援.上限1000万円で情報化関連経費を負担。予算枠1.5億円

☆コメント☆:本学会の幾つかの研究部会のテーマと関連

#1-64:新スタイルの産学連携増加

(日経4・19)
複数の大学教員と企業がコンソーシアムを形成して,実用化を目指した中長期のプロジェクトに取り組むことが流行りはじめている.法人化に備えて外部資金拡大がねらいとされている.関西の例では京大の産学連携センター-三菱化学-ローム-日立-パイオニアによる有機系エレクトロニクスデバイス。

☆コメント☆:大学教員が横断的に産業創出を意識してシナリオライティングするのは,産業に興味のなかった基礎研究者も巻き込むことができ,望ましい方向である.しかし,もともとその傾向が強かった一流大学教員の大企業指向が助長されると,世の中のベンチャー促進施策と競合する部分も出てくるかもしれない.バイ・ドール法の精神(前出)の意味合いを吟味すべきだろう.会員各位はどのように思われますか.意見を関西ベンチャー学会(info@kansai-venture.org)に寄せて下さい.

#1-63:東大阪のナノテク産業にむけての取り組み

(日経4・29)
クラスターテクノロジー社が音響・映像機器生産拠点の海外移転への危機感からナノテク開発に方向転換.大阪産業大学と連携.社長のコンセプトは「ナノテク加工のすそ野は広い.微細加工技術の中小企業増加は地域活性化に繋がる」

☆コメント☆:行政あるいは官学でナノテクの工作センターをつくり中小企業の進化を助ける方向があるのではないか.4月25日の日刊工業に文科省が大阪(中ノ島)と東京に産官学連携の拠点となるナショナルイノベーションセンターを03年に設置すると伝えているが(#1?56),ハイテク工作センターも必要だろう.5月7日のNHK BSニュースは韓国・大田の同様の施設を報道していた.地域公団(経産省の外郭団体,http://www.region.go.jp/r01/)は産学の具体的な拠点形成を支援している.

#1-60:国(7省庁)の重視している技術開発計画

(日経4・29)
官民共同開発に来年度1000億円要求予定
・ナノテク-ポストシリコン素子(文科省):原子制御による高速信号変換
・ナノテク-マイクロマシン(経産省):電子素子との複合チップ
・IT-スペースIT(文科省,経産省,総務省など):次世代GPS
・IT-高信頼ソフト技術(経産省):情報家電等のセキュリティー向上
・IT-災害情報システム(国土交通省):リアルタイム
・バイオ-プロテオームファクトリ(厚労相):プロテオーム創薬
・バイオ-テーラーメード医療機構(文科省):遺伝子情報の個人差の                            医療反映
・環境-低公害自動車(経産省):軽量素材,IT駆使
・環境-バイオマス(環境省):食品廃棄物再利用

☆コメント☆:ビッグプロジェクトの中にベンチャー,中小企業の活動の場がどこにあるか要検討.

#1-59:大学の発明によるベンチャー創出の日米比較

(日経4・25夕)
TLOが扱った発明→ベンチャー起業(産業構造審議会調査結果):
日本 発明=1538件/2.7年→起業=5件(0.3%)
米国 発明=20864件/2年→起業=643件(3.1%)

☆コメント☆:米国のTLOでは教員から開示された発明の選別して特許化したり(約5割),スタートアップ会社設立がTLOのルーチンの経路になっているなどが差の原因だろう.また,日本ではTLOにではなく,企業に譲渡するルートが主流だった名残りも否定できない.


▲▽研究部会御案内▲▽

国際化研究部会第12回例会開催ご案内

日時: 平成14年5月25日(土) 3:00〜5:00p.m.
場所: 大阪産業創造館 6階会議室 B

テーマ:「日中ITのかけ橋ーITの新しいビジネス・スタイル」
報告者:(株)ソフトパークジャパン  代表取締役 岸本 和則氏
連絡先:国際化研究部会主査  米倉穣
E-mail: ANB41772@nifty.com


==============◆関西ベンチャー学会◆==============
〒541-0053大阪市中央区本町1-4-5 大阪産業創造館内
TEL: 06-6264-9818 FAX: 06-6264-9889
mail: info@kansai-venture.org
URL: http://www.kansai-venture.org/
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