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会員講演要旨


新しい政策概念/大阪から考える

大阪工業会・日新会第11回例会 2002年3月18日
全日空ホテル・シェラトン

新しい政策概念/大阪から考える

                    塩 沢 由 典
               (大阪市立大学大学院経済学研究科教授)

(1)関西の「政策提言」

〇背景

・わたしの関係の深い経済団体
関西生産性本部、関西ニュービジネス協議会、大阪商工会議所、関西経済連合会など
関西学研都市推進機構、関西社会経済システム研究所、関西情報発信機能強化協議会など
・『エコノミスト』の時評(1994)、『イグザミナ』マスコミ評論(1995〜96)

〇印象

・中央省庁にお願いする(ものとり主義)
・大阪(関西)エゴ
・予算獲得のための陳情活動

〇結果

・全国平均という結果
・他の地方から信頼されない。
・政府予算の執行のために精力を使う。

〇反省

・「地方の時代」の指導者に成り切れていない。
・政策概念が古い。

〇このままでいいのか



(2)日本の転換期

〇キャッチアップからトップラナーへ

・マクロ経済 1970年代から
資金不足経済=>資金過剰経済(貿易:赤字基調=>黒字基調)
・中進国の追い上げ
韓国・台湾、ASEAN、中国・インドのキャッチ・アップ
・思考・習慣の転換
1980年代にこの転換期。しかし、社会はそれに対応できていない。
今でも追う立場で考えている。

〇過去の成功体験へのこだわり

・働き方 まじめ、こつこつ、改善(カイゼン)、改良、(人材の)底上げ、大衆動員
・マクロ経済 賃金切り下げ、円安誘導・期待、インフレ期待
・研究開発 後追い、横並び・横にらみ、外国研究機関との提携
・経営学 カタカナ、英語大文字ばかり(例外:野中郁次郎、藤本隆宏)

〇なにが必要か

・期待される人材 
協調型・全方位型・官僚型・体育会系=>独創型・専門家・冒険型・頭脳型

・社会制度の変革
一律・年功的・平均的処遇、官主導、護送船団方式、大企業=>実力主義、民主導、自己責任・市場競争、ベンチャー
・戦略的思考
トップに高い見識(科学・技術・社会の今後の変化を見渡せる)が必要。
戦略思考のできる頭脳を用いる。


(3)世界の転換期

〇20世紀最後の四半世紀

サッチャーリズム、ニュージーランド、改革・開放路線、マンモハン・シンの改革、ラテンアメリカ(ワシントン・コンセンサス)、ソ連・東欧の市場経済への移行、レーガノミックス、規制緩和と改革

〇国家の経済運営の失敗と不信任

・経済運営の失敗
ケインズ政策の失敗(微調整がなぜ働かないか:オームロッド『バタフライ・エコノミックス』)、失業問題、国際金融の安定
・不信任
官僚組織の非効率、ポピュリズム、国家機構の肥大、過剰福祉

〇市場経済への期待国家の失敗への裏返し

規制緩和、資本自由化、

〇市場経済の弱点

いまは、市場経済の弱点があまりにも過小評価されている。真の経済理論が必要。

〇国家か市場かの2者択一ではない

NPO・NGOなど、社会的セクターの活動が大きくなる。


(4)関西の政策問題

@ベンチャー振興

・経済産業省になにができるか
法制の整備、補助金、掛け声(社会に目標を与える)
・結果
キャピタル・ゲイン課税の減税、ベンチャー関連窓口、公的ベンチャー資金(債務保証・貸し付け・投資)、ストック・オプションの解禁、ベンチャー・ファンド、その他
・なにが必要か
社会の認識を変える(制度、実情)
社会の気風を変える(ベンチャー起業家、ベンチャー投資家)
ベンチャー学会:研究とともに運動も
Cf.創業ベンチャー国民フォーラム

☆政府でなくても、できることがある。
☆政府でない方ができることがある。

AIT産業にかんする関西の戦略

Cf.関西社会経済システム研究所『ディジタルエコノミーの進展と関西の競争力・企業活動にかんする研究』2001年5月。

・情報家電  関西我強いとされている分野。しかし、実態は。
・コンテンツビジネス  今後伸ばすべき分野。その戦略は。
・バイオインフォマティックス  製薬会社などの戦略的取り組み見えず。

☆ドッグイヤー時代の対応
課題の認識=>調査委員会=>要望・予算化=>実施(かならず遅れてしまう) 
☆「五代友厚方式」の提唱
大阪商法会議所、大阪株式取引所など当時としては先端の社会制度を導入した。
☆メールアワーの導入

B戦略的研究開発

Cf.R&D交流フォーラム、R&Dサマー・フォーラム、第6回技術政策とイノベーションにかんする国際会議(8/13〜8/15関西学研都市)

・研究開発は技術分野の担当?
・関西文化学術研究都市  集積のメリットがあるか。どうしたら出せるか。
・関西全体の問題  一日交流圏の強みを作りだす。

☆グローバル・コンペティションは、都市(一日交流圏)間競争
☆政府にお願いしても解決できない、共通の問題がある。=>政策課題

<解決策>
・競争前段階での知識の交換を密にする。
・世界の諸地域に先駆けてブレークスルーすれば、周辺産業まで含めてトップに立てる。
実例:液晶産業


(5)政策の新しい担い手

〇新しい政策概念 

政府(中央・地方)にお願いできる課題は限定されている。
国家の構造に関する課題では、地域エゴではなく、一般スキームを提案し、先導する。
企業を超えた共通の課題が沢山ある。それらに一日交流圏として取り組むべきだ。

〇新しい担い手

政府は、限定された政策主体。
企業・個人の取り組みが重要(共通課題に一致して取り組む。例:メール・アワー)
経済団体・学会・大学・NPOなどの取り組みの重要性。

〇われわれの意識を変える。

戦略的思考のできる人材を活用する。
戦略的思考の人材を育てる。
産学連携の新しい形の追求する。


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