紹介
塩沢由典著
『マルクスの遺産/アルチセールから複雑系まで』
藤原書店刊、2002年3月30日発行。
全446ページ、定価5800円。
ISBN4−89734−275−8
新しい本ができました。発行は、2002年3月30日となっていますが、3月22日ぐらいには全国の書店に並びます。『マルクスの遺産/アルチュセールから複雑系まで』と題するもので、藤原書店の発行です。マルクスとマルクス主義および社会主義と社会思想について、過去四半世紀にわたりわたしが書いてきたものをまとめてみました。
第四部の「回顧と展望」には、アルチュセールとスラッファを通してマルクスを読むところから出発したわたしが、どのような思考過程を経て、現在の思想に到着したかについてなるべく正直に書きました(第18章「マルクスから複雑系まで」)。特に、本書に収めた諸章と、現在、わたしが力を入れているベンチャーによる新産業創造や研究開発のマネジメントとの間の関係についても、書き下ろしの文章(第19章「現在の思想」)で説明しました。
また、各章について、執筆当時の事情や考えていたこと、現在のわたしの評価などを「解題」という形で書き添えました。かつて雑誌などでお読みいただいた方にも、裏にそんな事情があったのかと新しい発見をしていただけることもいくらかあるかと考えます。
本書におけるわたしの立場は、マルクスは、現在、われわれにとって負の遺産であるけれども、その遺産を受け継ぎ発展させていかなければ、本物の思想も経済学も生まれないだろうというものです。その主張通りの内容になっているかどうかには、いささか疑問もありますが、諸兄・諸姉のご批判・ご批評をいただければ幸いです。
マルクスに関する書物などはいまはなかなか商業ベースに載りません。こうした形で、わたしとマルクスとの関わりをまとめることができ、藤原書店には感謝しています。
塩沢由典
マルクスの遺産/目 次
まえがき
序 負の遺産を受け継ぐこと
■第一部 マルクスの遺産と構想■
1 マルクス主義のバランスシート [対談 藤田省三]
2 イデオロギーについて
3 生活の再生産と経済学
4 暴力と向かいあう政治思想――内ゲバの精神現象学へのひとつのメモランダム
5 経営の思想と自主管理
6 戦後日本のマルクス主義
■第二部 経済学の方法■
7 マルクス経済学の作風――宇野弘蔵と経済学の現在
8 分析方法からみたマルクスの現代性――新古典派110年の反省の上にたった古典派の再読
9 現代古典派の経済学
10 市場経済化と経済学の課題
11 マルクスとペレストロイカ
12 中国における「不足の経済」論争――マルクス経済学は社会主義に貢献したか
■第三部 マルクス主義者の肖像と主張■
13 都留重人をめぐるティー・タイム
14 アルチュセールにおける科学論の意味
15 合理化と計画化――ノイラートの社会像
16 A・ロンカッリア著『スラッファと経済学の革新』批判によるスラッファ理論の展開17 時間、認識、パタン――渡辺慧の軌跡
■第四部 回顧と展望■
18 マルクスから複雑系まで
19 現在の思想
〈反歌〉わたしの履歴書――数学から複雑系の経済学へ [聞き手・吉永良正]
索引
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