毎日新聞2001年(平成13年)3月13日(朝刊29面)
2月12日、関西ベンチャー学会が旗揚げした。会員は現在266人。大阪産業創造館で開かれた設立総会は予想以上に盛り上がった。さらに多くの方々の参加を促すためにも、私たちが目指すものをこの場で訴えたい。
通常の学会は専門家、学者が集まって学問研究する場だが、関西ベンチャー学会は学者よりも大部分は起業家、起業家の卵、ベンチャー・キャピタル、政策担当者たちだ。これは、学会としての目標がベンチャーに関する政策研究にとどまらず、ベンチャーそのものを起こす運動体を目指しているにほかならない。
1990年代からの長い不況の中で、景気浮揚のためのカンフル剤はむしろ逆効果であり、時間がかかっても経済の根幹を変えることが重要だということが明らかになった。経済政策というと、金融や財政などのマクロ政策を考えがちだが、私たちが目指すのは個人が新しい事業を起こし、社会の気風を変えることで経済のありようを変えていくミクロ的なアプローチだ。
個人のイニシアチブを生かす構造改革のためにどんな技術的課題や政策課題があるのか、どんな経済の仕組みが求められているか、学校教育に「ベンチャー」をどう組み込むのか、どんな人的ネットワークが有効なのか−。学者会員が問題点を整理し、コンセプトを打ち出しながら、「インキュベーション」「学生ベンチャー」「NPO関連」などの部会が運営を担当、実際に新事業の展開を目指すことになる。
関西は60年代までは新しい業態をつくり出す力が強かったが、それ以降、衰退が進行している。特に顕著なのは「頭脳」の弱体化だ。いい大学、いい先生がいるにもかかわらず、それらをつなぐネットワークが弱い。専門誌・雑誌がほとんどないためもあって自分たちで議題(アジェンダ)を設定することが出来ない。そうした固有の弱点や課題を克服すれば、関西の状況は大きく変わっていくに違いない。ホームページ(http://www.kansai-venture.org/)やメール・マガジンを活用して、関西の構造的弱点の解消にも微力ながら努力したい。
当面の会員目標は700人。人的ネットワークをさらに拡充しつつ、ベンチャービジネス叢生、つまり新事業が文字通り群がり生えるための基盤づくりに努めたい。