関西ジャーナル 2001年2月5日 2面
News Interview 時代を創る (1)
[見出し]
[顔写真]
大阪市立大学 塩沢由典教授
[キャプション]
ベンチャーの研究を通して、関西経済の活性化を―。昨年11月にプレシンポジウムを行い、設立準備を進めてきた「関西ベンチャー学会」が、2月12日に設立大会を開催することになった。
「学会」という従来のベンチャー支援組織と違った立場から、関西に活力をもたらすことができるのか。その取り組みを中心に、関西ベンチャー学会設立準備委員長で、会長に就任する塩沢由典大阪市立大学経済学部教授に話を聞いた。
[本文]
―「関西ベンチャー学会」ということですが。
塩沢 「日本ベンチャー学会」がすでにありますが、実際は会員のほとんどが東京・関東に集まっているので、どうしても活動が東京中心になっています。当学会は独立した組織として、関西における「ベンチャーの研究」と「起業家支援」を中心に、学者、起業家、企業を目指す学生やベンチャーキャピタルなどの支援人材まで、共に議論をする1つの場を提供したいと考えています。
―塩沢先生の発案ですか?
塩沢 いえ、3年前の日本ベンチャー学会の大会の中で、関西のメンバーが集まって「我々も関西のためになにかやろう」という話になったのが始まりです。
―学生にも参加してもらいたい?
塩沢 「学生ベンチャー部会」を作る予定です。学生の入会者が、現実に起業した人たちと気楽に触れあう機会が持てれば良いと思っています。交流には色々な形がありますが、分科会活動を中心に行っていく考えです。国立大学にはベンチャーラボラトリーがあり、公立大学や私立大学でも良い形の連携を作りたいという先生も多いですが、まだ横の交流が少ないと思います。こういった人たちと、文系の経営学の先生や企業の人たちに入ってもらえれば、ヒントとなることが多いはずです。
また、ベンチャーがどういう経済的役割を持っているかという正しい知識や、若い人がベンチャーを起こす時の親の理解などに、学会として貢献できればと考えています。
―法律的なことに関してはどうですか?
塩沢 もちろん「政策再生部会」という部会で政策関係の研究もします。しかし、ただ法律を変えるというだけではなく、ベンチャー支援施設を作っても職員が必要なノウハウを蓄積していないとか、また育っても転勤してしまうなどといった問題も取り上げていきたいと思っています。
―イベントなどの予定は?
塩沢 大きなイベントより、とにかく分科会活動を毎月きちんとやるつもりです。複数の分科会があるので、ほぼ毎週動きがあるような形にすることが今年の課題だと考えています。普通、学会といえば年に一、二回全国大会を開催して終わりですが、それではベンチャー支援にはなりません。
―塩沢先生は複雑系経済学がご専門ですが、なぜベンチャーなのでしょう?
塩沢 直接の動機は、東京だけでベンチャーが進んではならないという気持ちからです。経済に関わる関西在住の学者として、これまで関西に欠けていた「学会」という立場から、できることがあれば手伝いたいということですね。
―現在のベンチャー育成に足りないものは?
塩沢 きちんとした経営の心構えを持った起業家を育てることでしょうね。アメリカなどでは、技術を持つ人と経営学を学んだ人が協力して起業している例が多い。ただ日本では文理が分かれていますので、当学会がそういった出会いの場となれば良いと思います。制度や資金調達は、現在ではそれほど難しくない。一言でいうなら「ベンチャー精神の涵養」が重要でしょう。
[コラム]
関西ベンチャー学会
1997年設立の日本ベンチャー学会に続く、二つ目のベンチャー学会。顧問に小池俊二サンリット産業社長のほかが名を連ねるなど、多くの企業家・研究者が参加予定だが、今後も研究者だけでなく、ベンチャーに関心を持つ個人に開かれた学会として多くの人の参加を求めている。
設立大会は2月12日、大阪産業創造館で11時から開催。午後1時からは記念シンポジウムとして一般参加もでき、日本ベンチャー学会会長の清成忠男法政大学総長の講演やシンポジウム「関西ベンチャー学会はなにをめざすか」などが行われる。
《問い合わせ・入会申込み先》
e-mail:info@kansai-venture.org URL:http//www.kansai-venture.org